2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓のイオンチャネルに作用する薬物の作用機構解明と薬物誘発性不整脈リスク評価
Project/Area Number |
10J55402
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
持丸 祐子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抗不整脈薬 / 薬物構造活性相関 / hERGチャネル / チャネル活性増強作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心臓のイオンチャネルに作用する薬物の作用機構解明である。初年度は、心臓に発現するイオンチャネルの中でもhERGチャネルを解析対象として、薬物によるhERGチャネル活性の増強作用(facilitation作用)の理解を目指し以下の手順で研究を行った。 初めに、hERGチャネル阻害薬を対象にfacilitation作用の解析を行った。その結果、フルオキセチンやハロペリドールなどの中枢神経系作用薬、またクロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬がfacilitation作用を持つことが分かった。これまでfacilitation作用は抗不整脈薬を用いて解析が行われてきたが、今回の結果からfacilitation作用は薬理作用に関わらずhERGチャネルを阻害する薬物の一部において起こる作用ということが示された。 次に、変異hERGチャネルを用いてfacilitation作用に関わるアミノ酸残基の特定を行った。その結果、アミオダロンのfacilitation作用にはチャネル透過孔内のTyr652とPhe656が重要であることが示された。この結果は既に報告されているニフェカラントの結果と同様であり、この2薬物においてはfacilitation作用に関わるとアミノ酸残基が共通している可能性が示された。 次に、facilitation作用を持つ薬物の共通する構造的特徴を理解するためにファーマコフォア解析を行った。初めにfacilitation作用の有無が分かっている20種類の薬物を用いてファーマコフォアの抽出を試みた。しかし全ての薬物に共通するファーマコフォアの抽出は困難であった。そこで予め統計的解析手法を用いて薬物特性に基づく薬物のクラスタ分類を行い、クラスタ分類された薬物群事にファーマコフォアの抽出を行う手法を用いた。その結果、facilitation作用を持つ一部の薬物に共通するファーマコフォアと考えられるモデルを得ることができた。今後解析を進める予定である。
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