2011 Fiscal Year Annual Research Report
心臓のイオンチャネルに作用する薬物の作用機構解明と薬物誘発性不整脈リスク評価
Project/Area Number |
10J55402
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山川 祐子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | hERGチャネル / チャネル活性増強作用 / 構造活性相関解析 / 抗不整脈薬 |
Research Abstract |
hERGチャネルは心筋細胞の活動電位において再分極相を形成する電流を担っており、薬物のhERGチャネルへの作用は活動電位へも影響するため重要である。ファシリテーション作用は薬物と脱分極によって惹起されるhERGチャネル活性増強作用であり、これまでに一部のhERGチャネル阻害薬がこの作用を有することが分かっている。最終年度である今年度は、昨年度に明らかにしたファシリテーション作用薬群に共通する構造的特性の理解を目指し以下の研究を行った。 ファシリテーション作用薬の構造情報と実験から得られた活性情報を用いて構造活性相関解析を行い、ファシリテーション活性に関わる構造特徴(ファーマコフォア)から構成されるファーマコフォアモデルの構築を行った。モデルは1つの陽イオンチャージ領域と3つの疎水基から構成され、ファシリテーション活性の高い薬物はこれら特徴を全てまたは3つ持ち、活性の低い薬物は2つまたは1つしか持たないことが分かった。モデルに薬物を適合させファシリテーション活性値を算出すると、実測活性値と近い値が算出されたことから、本モデルは薬物のファシリテーション活性に関わる構造特徴を抽出した妥当なモデルと考えられた。またhERGチャネル阻害薬の多くはファシリテーション作用を持つことが観察されている。そこで、ファシリテーションと阻害のファーマコフォアモデルの比較を行うと、同じ構造特徴が抽出されていたが各特徴の空間的配置が異なっていることが分かった。ファシリテーションと阻害作用は薬物の同じ構造的特徴を相互作用部位とし、異なる薬物-チャネル相互作用で起きていることが示唆された。 本研究全体の成果から、ファシリテーション作用時の電流量の増加は電位依存性が異なるチャネル集団の出現によって観察されること、薬物の4つの構造特徴がチャネルとの相互作用に関与していること、阻害作用とは異なるメカニズムで起きていること等が明らかになった。
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[Journal Article] A mechanism underlying compound-induced voltage shift in the current activation of hERG by antiarrhythmic agents2011
Author(s)
Furutani, K., Yamakawa, Y., Inanobe, A., Iwata, M., Ohno, Y., Kurachi, Y.
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Journal Title
A mechanism underlying compound-induced voltage shift in the current activation of hERG by antiarrhythmic agents
Volume: 415(1)
Pages: 141-146
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] A mechanism underlying compound-induced voltage shift in the current activation of hERG by antiarrhythmic agents2012
Author(s)
Furutani, K., Yamakawa, Y., Inanobe, A., Tsumoto, K., Kurachi, Y.
Organizer
1^<st> HDP International Symposium
Place of Presentation
University of Tokyo, Tokyo, Japan
Year and Date
2012-01-21
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