1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11111216
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (90179630)
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Keywords | チンパンジー / 道具使用 / 定位的操作 / ボノボ / 積木つみ / 積木並べ / 模倣 |
Research Abstract |
本研究では、道具使用の前提である定位的操作の獲得において、他者によるモデル行動の影響の有無を検出することを目的とした。人工哺育のチンパンジー2個体(三和化学研究所所属のキララとクララ)を対象として、積木を導入した自由遊びの場面を設定し、そこで出現する対象児の行動を、社会的交渉にも注目して縦断的に記録した。1)先行研究で報告されているチンパンジーの積水つみ行動の出現とその技能の発達について確認するとともに、2)積木を並べる行動の出現状況、3)両者の出現とモデル行動の提示との関連を検討することを目的とした。その結果、1)クララは33か月齢、キララは36か月齢にはじめて積木を積み上げることができた。より高い塔をつくるために有用あるいは塔の倒壊を防ぐための技能が両者に共通して46〜49か月齢までにみられた。また、クララは、初めて赤白の色積木が導入された37か月齢の自由遊びのセッションで、同色の積木のみを積み上げる傾向が明らかだった。2)クララは37か月齢のときに導入された積木を並べるモデル提示のセッションで「積む」より「並べる」に近い行動を示した。この行動は、39か月齢の自由遊びのセッションに先駆けておこなった積木並べモデルの提示のセッションでも引き続き出現した。42か月齢では、キララ、クララともに、目前正面に散在した床の積木を両手で左右からかき合わせるような行動が初出した。また、クララは、左腕を堰のような支えにして、右手にもった積木を順に左側に寄せていくという行動を初出させた。この行動は46か月齢にも引き続いて出現した。3)49か月齢での3セッションにおける積木つみと「積木並べ」に従事した時間を、モデルなし時、積木つみモデル提示後、積木並べモデル提示後に分けて比較すると、積木つみモデル提示後は積木つみ行動、積木並べモデル提示後は「積木並べ」行動が多く出現し、両対象児の行動の切り替えがモデル提示によって起こることが示唆された。なお、複数の物体からひとつの道具を製作・使用する課題で同種間の模倣がいかに起こるかを検討する計画もすすめ、このために必要なモデル個体を、ボノボについては、集団飼育群の個体を対象とした実験で確保することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 竹下秀子・田中真介・鵜殿俊史・寺本研・早坂郁夫: "ヒトとチンパンジーの認知発達の比較研究(3)-チンパンジー乳幼児の積木遊び: 積むことと並べること"文部省科学研究費補助金特定領域研究「心の発達: 認知的成長の機構」. 86-93 (2000)
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[Publications] 竹下秀子: "発達連関のダイナミクス-行動の種比較から見えてくるもの-"教育方法の探求. 3(印刷中). (2000)
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[Publications] 竹下秀子: "赤ちゃんの姿勢と手のはたらきの進化"科学. 69. 409-416 (1999)
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[Publications] 竹下秀子: "心とことばの初期発達-霊長類の比較行動発達学"東京大学出版会. 264 (1999)