1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの空間認知機能 -fMRIによる機能地図作成-
Project/Area Number |
11111224
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泰羅 雅登 日本大学, 医学部, 助教授 (50179397)
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Keywords | 頭頂連合野 / ヒト / 機能的MRI / 陰影 / 凹凸 / 三次元形態 |
Research Abstract |
三次元形態を識別するための手がかりには,輪郭や陰影などの単眼の奥行き手がかりと,輪郭部分の視差や視差勾配などの両眼の奥行き手がかりがある.覚醒ザルでのニューロン活動の記録実験で,空間視に関係した背側視覚経路に三次元的視覚情報を選択的に処理する領域が見つかっている(頭頂間溝外側壁後方部領域,CIP領域).この領域で見つかった三次元的な面の傾きを識別するニューロンについて,どのような手掛かりによる情報処理がおこなわれているのかを解析したところ,輪郭の変化やテクスチャーの勾配などの単眼手掛かりと両眼視差信号の単独,あるいはその組み合わせで面の傾きを識別していることがわかってきた.従来,輪郭,テクスチャー,色などの二次元的な視覚情報は物体視に関係した側頭連合野を含む腹側視覚経路で情報処理されると考えられている.先のニューロンの記録実験の結果は三次元形態の識別のために,単眼情報と視差の情報が頭頂連合野で統合されている可能性を示唆している.陰影は面の凸凹を識別する上で重要な単眼の奥行き手掛かりである.今回の研究では両眼視差信号によらない,陰影による凸凹の識別課題遂行中のヒトの脳活動をfMRIを用いて解析した.その結果,陰影という単眼情報による三次元形態の識別であっても,三次元情報の処理には頭頂葉が活動し,同時に絵画的な情報を処理していると腹側の視覚領域も活動していることが明らかになった.この結果は陰影の情報がまずはじめに腹側視覚経路で処理され,頭頂葉ではその情報に基づいて三次元形態を識別している可能性を示唆しており,ヒトでもサルのニューロン活動の記録実験で示されたの同様に,三次元形態識別のために単眼情報と視差の情報が頭頂連合野で統合されている可能性がある.
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[Publications] Sakata, S.: "Neural representation of three-dimensional features of manipulation objects with stereopsis"Exp. Brain Res.. 128. 160-169 (1999)
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[Publications] Taira, M.: "Parietal neurons represent surface orientation from the gradient of binocular disparity"J. Physiol.. (in press). (2000)
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[Publications] 泰羅雅登: "バーチャルリアリティ 人工現実感と人間の関わりを考える"クバプロ. 179 (1999)