1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11111231
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
宇野 彰 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・知的障害部・治療研究室, 室長 (10270688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 真澄 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・知的障害部・治療研究室, 室長 (70203198)
|
Keywords | 学習障害 / 意味 / 言語 / 非言語 / 認知 / 発達 / 文字 / 図形 |
Research Abstract |
学習障害児とは知的には正常であるが、読み・書きなどある能力だけが特異的に障害されている児童である。文部省の定義(1999)では、学習障害の背景には神経学的基盤があると推定している。本研究では全般的知能は正常であり、検査が施行できた児童に関しては大脳局所のみでの血流量の低下が確認されている症例を対象とした。 学習障害児例は先天的な障害であるため、言語的な能力と非言語的な能力とが平行して障害されることが多いが、障害の型によっては必ずしも非言語的な認知機能と言語的認知機能が平行には障害されていない群があることがわかった。現在まで言語的能力と非言語的能力とを詳細に調べた研究は少ないが、本邦でのdyslexiaまたはdysgraphiaを呈した報告例はすべて言語的図形である文字と、非言語的図形とに共通の障害構造が認められた(1995,1996,1997,1998)。成人の後天性脳損傷による失読失書では言語性能力非言語性能力とは独立して障害されていることが多い。一方、音読や復唱は可能であるが意味を理解することが困難であった言語性意味理解障害児8例では、言語に関する意味理解力は障害されている一方で、非言語的意味理解力は正常に発達していた(1999)。同じ先天的障害例である、非言語的能力も障害されている特異的漢字障害児と対称的であった。以上から、言語的能力と非言語的能力は共通に発達していくだけでなく、意味能力に関しては独立して発達していることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 宇野彰,春原則子,金子真人,加我牧子,松田博史: "特異的言語機能障害児における非言語的認知能力の発達"音声言語医学. 40(4). 388-392 (1999)
-
[Publications] E.W.Yund, A.Uno, D.L.Woods: "Preattentive Control of Serial Auditory Processing in Dichotic Listening"Brain and Language. 66. 358-376 (1999)
-
[Publications] 宇野彰,加我牧子,稲垣真澄,金子真人,春原則子: "特異的漢字書字障害児の認知能力に関する神経生理学的および神経心理学的発達"臨床脳波. 41(6). 392-396 (1999)
-
[Publications] 春原則子,宇野彰,加我牧子,松田博史,金子真人: "Semantic-pragmatic disordersの一例における言語性の意味理解障害について-音韻処理過程と意味処理過程との乖離-"脳と発達. 31(4). 370-375 (1999)
-
[Publications] 宇野彰: "学習障害の神経心理学的解析-神経心理症状と局所脳血流低下部位との対応-"脳と発達. 31(3). 237-243 (1999)
-
[Publications] 宇野彰,堀口寿広,山田裕康,加我牧子: "学習障害(LD)児および周辺児・者の日常生活におけるハンディキャップに関する調査研究 各都道「LD親の会」代表者からの回答"小児の精神と神経. 39(1). 73-78 (1999)
-
[Publications] 加我牧子,宇野彰: "わかるLDシリーズ LDと治療(日本LD学会偏:中根 彰,加藤醇子責任編集)"日本文化科学社. (1999)
-
[Publications] 加我牧子,稲垣真澄,宇野 彰: "小児の言葉の障害"医歯薬出版. (2000)