1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析による日本在来動物種の起源・進化および渡来時期の解明
Project/Area Number |
11112202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 隆一 北海道大学, 理学部, 助手 (80192748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
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Keywords | 分子系統 / 日本固有種 / 起源 / 進化 / 遺伝子 / 多様性 / 日本列島 / 生物地理 |
Research Abstract |
日本産固有種を含む哺乳類の遺伝的な地域変異を分析し、日本列島と大陸における陸橋・海峡の形成史および古環境の変動と比較検討することにより、日本列島における生物地理的歴史を考察することが目的である。本年度は、エゾヒグマ、ニホンジカ、イイズナ、オコジョ、ホンドテン、クロテンを分析対象とした。その結果、動物種毎に独自の渡来の歴史をもっていることが明らかとなった。特に、北海道のエゾヒグマ集団において、ミトコンドリアDNA(mtDNA)のコントロール領域およびチトクロームb遺伝子の塩基配列の分子系統解析により、北海道には3つの遺伝的集団が存在し、それらは道南地方、道北―道央地方、道東地方に分かれて分布することを突き止めた。分子時計により、これら3集団の分岐年代は約30万年以上前と推定され、各々がユーラシア大陸で分岐した後、異なるルートまたは異なる時代に陸橋を経て北海道へ渡来したものと考えられた。大陸産ヒグマ集団と比較することにより、北海道集団の遺伝的特徴は世界のヒグマの分布拡散の歴史を解明する上で重要なポイントになることが示唆された。また、ニホンジカ集団について、mtDNAコントロール領域の分子系統解析を行った結果、北海道―本州集団および九州(その周辺島嶼を含む)集団という大きな2つのグループに分類することができた。その境界は中国地方にあると推定されるが、詳細は現在調査中である。津軽海峡(ブラキストン線)をはさんだ東北地方と北海道との間の遺伝距離は小さく、日本列島全域の個体群を比較した場合、両者は北海道―本州集団に含まれた。今後は他の動物種についても分析を進め、日本列島における哺乳類の生物地理的歴史と日本列島周辺の陸橋・海峡形成史や古環境の変動との関係を明らかにして行く予定である。さらに、上記の現生種のDNA情報をもとに、考古試料の分析も進めていく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Matsuhashi: "Microevolution of the mitochondrial DNA control region in the Japanese brown bear (Ursus arctos) population"Molecular Biology and Evolution. 16. 676-684 (1999)
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[Publications] J.Nagata: "Two genetically distinct lineages of the sika deer, Cervus nippon, in Japanese islands : Comparison of mitochondrial D-loop region sequences"Molecular Phylogenetics and Evolution. 13. 511-519 (1999)
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[Publications] N.Kurose: "Phylogeographic variation in two mustelines, the least weasel Mustela nivalis and the ermine M. erminea of Japan, based on mitochondrial DNA control region sequences"Zoological Science. 16. 971-977 (1999)
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[Publications] N.Kurose: "Intraspecific variation of mitochondrial cytochrome b gene sequences of the Japanese marten Martes melampus and the sable Martes zibellina (Mustelidae, Carnivora, Mammalia) in Japan"Zoological Science. 16. 693-700 (1999)
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[Publications] 増田隆一: "遺伝子から検証する哺乳類のブラキストン線"哺乳類科学. 39. 323-328 (1999)
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[Publications] 増田隆一: "ブラキストン線(津軽海峡)に関する食肉類の生物地理と遺伝的特徴"哺乳類科学. 39. 351-358 (1999)