1999 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代以降の森林植生復元と人間の木材利用史の研究2
Project/Area Number |
11112204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111483)
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Keywords | 縄文時代 / 遺跡 / 森林復元 / 木材利用 / 樹種 / クリ |
Research Abstract |
1.青森県青森市の三内丸山遺跡及び富山県小矢部市の桜町追跡を中心に出土木材の樹種の調査を行った.その結果,三内丸山遺跡ではクリ材が構造材,器具材,燃料材など広汎に用いられていることが改めて確認された一方,主要な針葉樹材がアスナロ(ヒバ)であることが発見された.桜町遺跡では建築部材を中心にクリ材であることが確認され,その他の樹種の利用が極めて少ないことに特徴があることが明らかになってきている.いずれにしても未だ出土材の一部にしか調査が及んでいないので引き続き調査を行う. 2.燃料材としてのクリ材の重要度を知るために,同じく縄文時代の遺跡において炭化材の樹種を調べる手はずを整えた.対象とした遺跡は北海道渡島半島南茅部町の大船C遺跡,三内丸山遺跡,青森県八戸市の是川遺跡,宮城県一迫町の山王囲遺跡などである.これらの遺跡では堆積物等の水洗・選別が順次行われており,それらが終了後試料の提供を受け,樹種の同定を行うことになっている. 3.東北地方の縄文遺跡においてはクリ材の重要性は極めて明白であり,大量消費していることが経験的に知られている.上記の調査によりその消費量を定量化する試みを行っているのと同時に,それだけの消費をまかなうメカニズムの解明が必要である.そこで,青森県三戸郡田子町の雑木林に調査地を設けて群落学的調査を行った.これは,まず第一番目に,現在の雑木林にはどれだけのクリの現存量があるのかを把握し,それが,皆伐,クリだけの抜き伐り,クリを残した皆伐,等の施行の違いによって,クリ現存量がどう異なるのか,そしてそれらの施行によってクリの再生はどの様になるのかのデータを得るためのものである.これによって縄文時代の集落が必要としたクリを含んだ雑木林の面積を知ることができる.
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[Publications] Shuichi Noshiro,Kazuo Terada,Sei-ichiro Tsuji & Mitsuo Suzuki: "Larix-Picea forests of the Last Glacial Age on the eastern slope of Towada Volcano in northern Japan"Review of Palaeobotany and Palynology. 98. 207-222 (1997)
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[Publications] 鈴木三男: "森林資源と木材利用史"遺伝. 52・6. 23-28 (1998)
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[Publications] Shuichi Noshiro,Mitsuo Suzuki & Sei-ichiro Tsuji: "Species selection for wooden artefacts at the Yoshinogari Site,Saga Prefecture,Japan"Japanese Journal of Historical Botany. 6・2. 63-78 (1999)
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[Publications] 鈴木三男: "古代の仏像の樹種はカヤであるのか??"植生史研究. 6・2. 84-85 (1999)
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[Publications] 鈴木三男: "年輪構造による遺跡出土ケヤキ材の伐採時期特定の試み"植生史研究. 7・1. 11-15 (1999)
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[Publications] 能城修一・鈴木三男・高橋敦: "近世江戸のイチョウの木製品"植物史研究. 7・2. 81-83 (1999)
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[Publications] 辻誠一郎(編): "考古学と植物学"同成社. 247 (2000)