1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11112217
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小山田 常一 長崎大学, 歯学部, 助手 (00244070)
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Keywords | 歯 / 弥生人 / 渡来 / 縄文 |
Research Abstract |
弥生時代の日本列島には渡来人の影響を受けた集団と縄文系の集団とが共存していたと考えられている。 本研究では、比較的まとまった数が発掘されている鹿児島県種子島(広田および鳥の峯遺跡)出土弥生時代人骨(縄文系)、西北九州出土弥生時代人骨(縄文系)、佐賀県大友遺跡出土弥生時代人骨(縄文系)、南西諸島(沖縄県真志喜安座間原遺跡)出土弥生時代人骨(縄文系)、北部九州出土弥生時代人骨(渡来系)、山口県土井ヶ浜遺跡出土弥生時代人骨(渡来系)の弥生6集団の歯牙形態の特徴を明らかにし、それらの弥生時代人同士の類縁関係とその系統を明らかにする事を目的とした。 弥生5集団(土井ヶ浜遺跡出土弥生時代人骨は調査中のため除く)に縄文時代人骨、南九州古墳時代人骨、中国の古人骨4集団に加えて、上下顎中切歯から第二大臼歯までの歯冠頬舌径と近遠心径28項目をデータとしてPenroseの距離分析を行い、主座標分析により集団間の類縁関係を求めた。歯列全体としての歯の大きさ(大きさ距離)は、縄文系の集団の方が渡来系集団そして中国の古人骨よりも小さい。縄文系集団の中では種子島弥生の男性は南西諸島弥生時代人よりも大きく、西北九州、大友弥生時代人よりもやや小さく、縄文時代人に近い。一方、種子島弥生の女性は南西諸島弥生時代人、縄文時代人よりも大きく、西北九州弥生時代人に近い。歯冠サイズのプロポーション(形態距離)についても、縄文系集団と渡来系集団が第一軸(寄与率40%程度)により分離できたが、種子島弥生時代人は他の縄文系集団から比較的離れており、その中でも特に南西諸島弥生時代人との距離が離れていた。地理的には比較的近い関係にある種子島の弥生人と南西諸島(沖縄)の弥生人が、歯冠サイズおよびそのプロポーションにおいて異なる傾向を示し、同じ縄文系弥生人の中でも、その系統についてより詳細な研究が必要であることを示唆する結果となった。
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