1999 Fiscal Year Annual Research Report
木造在来軸組構法の接合部形式に対応した地震応答解析用弾塑性復元力特性の定量化
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11115227
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩井 哲 広島工業大学, 工学部, 助教授 (60184850)
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Keywords | 木造在来軸組構法 / 地震応答解析 / 復元力特性 / 接合金物 / 釘打ち接合 / 固有周期 / 減数定数 / 耐震性能 |
Research Abstract |
本研究は,1995年兵庫県南部地震で多数の被害があった在来軸組工法を対象に,地震時応答解析に用いる弾塑性復元力特性モデルの定量化を図り,動的応答解析用復元力モデルを導出することを目的とする。木造実大建物の振動台実験や仮動的応答実験は,構造物の耐震性を調べる手段としては最も直接的なものであるが,費用や労力が膨大な点,荷重や変形の計測が必ずしも容易でないことを考えると,目的によっては最上の方法ではない。解析的に地震時の時刻歴応答が得られれば,限られた試験体の実験例との比較・検証ならびに,種々の入力地震動や構造体種別に適用することにより,さらに一般的な解を見い出すことが可能になる。そのための木造軸組構造の動的応答解析用復元モデルはまだ例も少なく,十分な評価がなされていない。 本研究では,まず実在建物の自由振動実験・振動台実験資料に基づく,木造構造の減数定数の数量的把握を行った。木造工法別に固有周期や減数定数を調べ,動的解析に用いるべき値を検討するために用いた。また,これまでに実験で得られた復元力履歴曲線や,動的応答解析に用いられている復元力モデルを分類し,その特質と問題点の照査を行った。完全弾塑性型の復元力モデルとスリップ型の復元力モデルの組み合わせによる,動的解析用の復元力履歴曲線を構成する各種係数を,架構に応じて求める形のモデル化を検討した。種々の入力地震波による応答解析の結果から,構造安全性(損傷)の評価法を導出し,既往の研究による木造住宅の振動実験結果等を参考に供し,精度の検証に用いるものである。 一方、木質部材の変形は大部分が弾性域あり,接合部の復元力履歴の架構の復元力履歴となって現われることが多い。この点を構成要素として取り込んだ構造物の振動解析プログラムを作成するため,金物ならびに釘打ち接合部形式に対応した復元力特性を実験によって検証し、モデル化を行うことを始めた。
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[Publications] 岩井 哲: "木造在来軸組構法建物の動的特性の定量化"第4回都市直下型地震災害総合シンポジウム論文集. 235-236 (1999)
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[Publications] 岩井 哲: "木造柱脚金物接合部の引き抜き性能実験"日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1構造III. 25-26 (1999)
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[Publications] 岩井 哲,一反田康啓: "木造建物の動的解析モデル構築のためのデータベース"日本建築学会大会学術講演梗概集. C-1構造III. 289-290 (1999)
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[Publications] 一反田康啓,岩井 哲: "木造建物の動的特性に関するデータベース構築と応答解析"日本建築学会中国支部研究発表会. (発表予定). (2000)