1999 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロム酸化酵素における電子・プロトン移動の微視的理論
Project/Area Number |
11116204
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 耕司 筑波大学, 物質工学系, 講師 (90281641)
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / 分子シミュレーション / 電子移動反応 / プロトン移動反応 |
Research Abstract |
1.チトクロム酸化酵素における第一の電子受容体であるCuA部位について、電子構造と力場を非経験的分子軌道法により解析した。主目的は、分子動力学シミュレーションを行うためのポテンシャル関数を構築することにある。関連して、この部位が特異な複核銅錯体を形成していることの機能的な意味について考察を試みた。CuA部位のアミノ酸配位子については、側鎖部分を切出し水素で終端したモデル分子で近似した。座標は月原らのX線構造解析データに水素原子を付加した。この際に、非経験的分子軌道法で最適化したアミノ酸側鎖モデルの構造を参照した。銅原子にはStevensらの有効内殻ポテンシャルと基底関数、他原子には4-31G基底を用いた。イオン化ポテンシャルの計算にはRHFとROHF法を、構造最適化にはRHF、UHF、CASSCF法を用いた。比較のために、類似のアミノ酸配位子を持ち、かつ銅中心が単核であるような一連のタンパク質(アズリンなど)についても同様の計算を行った。 2.水中の酸電離プロトン移動の分子的機構について、塩酸とフッ化水素酸を比較しながら議論した。これらは良く知られたハロゲン酸だが、酸の強さの差異の原因、プロトン移動の量子的断熱性、多重プロトン移動機構など未解決の問題が多く残っている。ここで得られた知見と方法論は、膜タンパクにおけるプロトンポンプの経路や機構の議論に密接に関連する。 3.タンパク質シミュレーションにおける従来の標準的相互作用ポテンシャルモデルは、アミノ酸側鎖の電子分極効果を無視しているという点で不十分である。この効果を取り入れるために、「電子陰性度平衡化法」が有望視されているが、動力学計算に応用した場合に電荷およびエネルギーの発散がしばしば起こるという問題がある。これについて根本的な解決となり得る新手法を開発し、水溶媒中の電子移動反応系へ応用した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Ando: "Molecular mechanism of HF acid ionization in water"Journal of Physical Chmistry. 103・49. 10398-10408 (1999)
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[Publications] K.Ando: "Acid-base proton transfer and ion pair formation in soulution"Advances in Chemical Physics. 110. 381-430 (1999)
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[Publications] R.Rey: "X-ray and molecular dynamics study of liquid structure in pure(CH_3)_<4-n>CCl_n"Journal of Chemical Physics. (2000)
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[Publications] 安藤耕司: "溶液内や光合成反応中心の電子移動における量子トンネル効果とコヒーレンス"物性研究. 72. 240-254 (1999)