1999 Fiscal Year Annual Research Report
酸素・電子滴定とESR分光によるヘムオキシゲナーゼ反応の再検討と結晶構造の解析
Project/Area Number |
11116227
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 寛 久留米大学, 医学部, 助手 (70309748)
高橋 研一 久留米大学, 医学部, 講師 (80250736)
小俣 義明 久留米大学, 医学部, 助教授 (20268840)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / α-ヒドロキシヘム / α-ベルドヘム / ヘム-ヘムオキシゲナーゼ複合体 / 結晶構造 |
Research Abstract |
【ラットヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の結晶構造】C末端の膜結合ドメインを除いた短縮型ラットHO-1とヘムの複合体の結晶構造を決定した。ラットHO-1の構造は8本のα-ヘリックスから成る。ヘムは2つのヘリックスに挟まれており、近位側(Aヘリックス)にはHis25が配位していたが、遠位側(Fヘリックス)には極性アミノ酸が存在せず、最も近いアミノ酸残基はG139とG143であった。G143のアミド・G139のカルボニルともヘム上の酸素と水素結合するのに充分近い距離に存在していた。HO反応はoxyferrylではなくferric peroxideが活性酸素と考えられている。oxyferrylの形成には遠位アミノ酸の側鎖が関与しているが、HOでは主鎖によって酸素が活性化されている可能性がある。 【α-ヒドロキシヘムからα-ベルドヘムへの転換反応】HOによるヘム分解反応では、ヘム・α-ヒドロキシヘム・α-ベルドヘム・ビリベルジンの順に3段階の酸素依存性の反応が起こる。しかし、各ステップの化学反応の詳細な化学量論的な研究はされていなかった。特に第2ステップの反応(α-ヒドロキシヘム→α-ベルドヘム)については、分子状酸素のみで起こると主張するグループと外部からの電子の供給が必要であると主張するグループの対立がある。そこで、この反応の電子要求性について検討した。複合体中のα-ヒドロキシヘムはFe(III)high-spin体とFe(II)π neutral radical体の平衡状態にありCO添加により平衡はRadical体側に大きく傾くこと、この複合体は1当量の酸素によってベルドヘムに転換すること、生成したベルドヘムのヘム鉄は2価であることを明らかにした。これらのことから、HO-ヒドロキシヘム複合体からのベルドヘムへの変換はπ radical体から始まり、このものは電子を必要とせずに酸素と反応してFe(II)ベルドヘムに変換されるものと結論された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kenichi Takahashi: "Kinetic-isotope effects of peptidylglycine α-hydroxylating monooxygenase reaction"Biochemical Journal. 336(1). 131-137 (1998)
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[Publications] Yoshiaki Omata: "Crystallization and preliminary X-ray diffraction studies on the water soluble from of rat heme oxygenase-1 in complex with heme"Acta Crystallographica Section D. D54. 1017-1019 (1998)
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[Publications] Kenichi Takahashi: "The mechanism of peptidylglycine α-amidating reaction"PEPTIDE SCIENCE 1998. 485-488 (1999)
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[Publications] Hiroshi Sakamoto: "Ferric α-hydroxyheme bound to heme oxygenase can converted to verdoheme by dioxygen in the absence of added reducing equivalents"Journal of Biological Chemistry. 274. 18196-18200 (1999)
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[Publications] Makoto Nakai: "Binding characteristics of dialkyl phthalates for the estrogen receptor"Biochemical and Biophysical Reseatch Communications. 254. 311-314 (1999)
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[Publications] Yoshiaki Omata: "Oxygen Homeostasis and Its Dynamics(Y.Ishimura et al.Eds.)"Springer-Verlag Tokyo. 620 (1998)
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[Publications] 野口正人: "医科生化学(竹重ら編)"株式会社 講談社サイエンティフィク. 352 (1999)