1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11116228
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
伊藤 繁 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40108634)
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Keywords | 光合成 / タンパク質 / 電子移動 / クロロフィル / キノン |
Research Abstract |
光合成の光反応と電子移動反応におけるMg,Zn,Fe金属の役割を検討した。 「Znの役割」 : 新たに発見された好酸性紅色光合成細菌Acidiphyiliumm rubrum はZnを中心にもつバクテリオクロロフィルを光合成に使う事を見いだした。この細菌から内膜系を抽出しさらに光合成反応中心複合体を精製してZn-バクテリオクロロフィルaの働きを調べた。高能率な電子移動が観測され、この細菌以外のずべての光合生物が使うMg-クロロフィルでなくとも確かに光合反応が効率よくすすむことが示された。単離反応中心にユビキノンを再構成すると光電荷分離が安定化された。 「近赤外光を利用するクロロフィルdで新型酸素発生光合成を行うシアバクテリア様細菌Acaryochloris marinaの光化学反応中心電子移動」 : この細菌は他のすべての酸素発生型光合成物がむつクロロフィルaよりも長波長の光を吸収するクロロフィルd(金属はMg)を大量にもつ。従って、他の光合生物と共存しても光を奪われずに光合成でき、進化の観点からも興味深い。光化学系I反応中心複合体を単離しクロロフィルdの2量体(P740と命名)が光反応に働くこと、電子受容体はフィロキノンであること、このキノンを人工化合物で置き換えられることを示した。酸素発生に働く光化学系II複合体でもクロロフィルdが働くことをレーザ分光とピコ秒蛍光分光で示した。さらにFTIR、電子スピンエコー、ENDORなどでこの省エネ型光反応機構を検討した。 「植物反応中心内に導入した人工化合物の反応」 : 植物の光化学系Iで働くキノンを人工化合物で置き換えても元のキノンを全く同じ位置に入り鉄硫黄センターを還元できることをパルスESRにより確認した。さらにキノンの配置状態を最新の電子スピンエコー(ESEEM)法で決定した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Iwaki,M. et al.: "Time-resolved spectroscopy of chlorophyII-a like electrom acceptor in the reaction center complex of the green sulfur bacterium Chlorobium tepidum."Plant and Cell Physilogy. 40. 1021-1028 (1999)
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[Publications] Noguchi,T. et al.: "Photoconversion of a water-soluble chlorophyII protein from Chenopodium Album : Resonance Raman and FTIR study of protein and pigment structures."Plant and Cell Physilogy. 40. 305-310 (1999)
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[Publications] Yoshii,T. et al.: "ESEEM study of the location of spin-polarized chlorophyII-quinone radical pair in membrane-oriented spinach photosystems I and II complexes."Applied Magnetic Resonance. 16. 565-580 (1999)
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[Publications] 伊藤繁 (共者): "光がもたらす生命と地球の共進化"中部経済新聞社. 139 (1999)
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[Publications] 伊藤繁 (共者): "生きている地球の新しい見方・地球・生命・環境の共進化"(株)クバプロ. 202 (1999)