1999 Fiscal Year Annual Research Report
半導体光触媒による新規炭素―炭素結合生成反応の開拓
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11119202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 茂 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (40312417)
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Keywords | 硫化カドミウム / 光触媒反応 / 立体選択的反応 / ジアミノピメリン酸 / ジアステレオ選択 / 光学活性体 / トランス / シス比 / ピペリジンジカルボン酸 |
Research Abstract |
酸化チタンや硫化カドミウム(CdS)などのように半導体とよばれる固体が光を吸収することによって起こる光触媒反応は、環境汚染物質の分解・無機化の研究が実用化段階にはいっている。このため、一般的に光触媒反応が無選択な酸化反応であるかのような印象をあたえるが、無酸素の雰囲気下では、酸化・還元の両反応が同時に利用することができ、選択的な反応が室温で進行する。われわれはこれまでに(S)-リシンの光触媒反応による環化反応を利用して医薬品などの中間原料であるピペコリン酸を合成できることを報告してきた。さらにジアミノピメリン酸(DAP)を原料とし、CdSを触媒とすると天然のピペリジンアルカロイド類の骨格構造であるピペリジン-2,6-ジカルボン酸(PDC)が生成することを見いだした(スキーム)。生成するPDCのトランス/シス比は用いるCdSの種類や前処理条件によって変化するが、あらかじめ表面を一部酸化してCdS表面にイオウ欠陥を形成させておくと、光触媒反応中に金属カドミウムが生じ、これが還元サイトとして機能し、トランス体をジアステレオ選択的にあたえることを明らかにした。これは、光触媒反応における立体選択性発現の最初の例である。さらにこの反応を応用し、原料として光学活性DAPを用いて光学活性なPDCを選択的に合成することに成功した。これまでtrans-PDCの選択的合成方法は報告されていない。以上の例は光触媒反応によるジアステレオ選択的反応であるが、従来の表面修飾型とは異なるアプローチを用いた新しい光触媒不斉合成系の実現をめざして現在研究を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] B.Ohtani, et at.: "Two-Dimensional Chirality : Self-Assembled Monolayer of an Atropisomeric Compound Covalently Bound to a Gold Surface"J.Am.Chem.Soc.. 121(27). 6515-6516 (1999)
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[Publications] T.Nakanishi, et al.: "Structure and Photoelectrochemical Properties of Laminated Monoparticle Layers of CdS and ZnS on Gold"Jpn.J.Appl.Phys.. 38(1B).
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[Publications] H.Kominami, et al.: "Synthesis of Titanimu(IV) Oxide of Ultra-high Photocatalytic Activity : High-termperature Hydrolysis of Titanium Alkoxides with Water Liberated Homogeneously from Solvent Alcohols"J.Mol.Cat al., A.Chem.. 144(1). 165-171 (1999)