1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい有機ガリウム化学を基盤とする不飽和化合物の直接カップリング反応
Project/Area Number |
11119204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30158117)
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Keywords | 塩化ガリウム / エノラート / ビニル化 / フェノール / シリルアセチレン / カルボメタル化 |
Research Abstract |
ガリウム元素は周期律表で13族第4周期にあり,アルミニウムの一つ下に位置している.有機ガリウム化合物は半導体製造に大量に使われているが,有機化学的にはほとんど取り上げられなかった.同族の有機アルミニウム化合物に比べて,特徴的な性質を見い出すことができなかったためである.しかし最近,我々は新しい着想によって,有機ガリウム化合物に特徴的な新反応を見い出しつつある.特に,塩化ガリウムが炭素-炭素不飽和結合を強く活性化することが分かってきた.本研究では,この新しい有機ガリウム化合物の化学を解明するとともに,オレフィン,アセチレン,芳香族化合物といった不飽和化合物を直接カップリングさせる新反応の開発を行う. 塩化ガリウムを用いる芳香族β-シリルビニル化反応について,反応中間体の構造と反応性の詳細な検討を行なった.その結果,アセチレンと塩化ガリウムの錯体,アレニウムカチオン中間体,およびビニルガリウム中間体をスペクトル法によって捕捉した.この反応を共役ジイン化合物に適用すると,エンイン化が起こることがわかった.興味深いことにここで,極めて高いオルト選択性を示した. 塩化ガリウムは不飽和三重結合のみでなく,アレンの二重結合を活性化することを見いだした.これを用いて,芳香族炭化水素のアルケニル化反応を開発した. 有機ガリウム化合物が不飽和結合にカルボメタル化を起こすことを利用して,シリルエノールエーテルのビニル化反応を開発した.これはエノラート誘導体を直接ビニル化した始めての例である.この反応を活性メチン化合物やチオエステルのビニル化に適用した.また,フェキシガリウムが同じようにオルト位でシリルビニル化されることを見いだした.
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[Publications] K. Kobayashi, M. Arisawa, and M. Yamaguchi: "β-Silylethenylation of Phenol with Silylethyne Using Gallium Trichloride"Inorg. Chim. Acta. 296. 67-71 (1999)
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[Publications] M. Yamaguchi, T. Tsukagoshi, and M. Arisawa,: "Ethenylation of Silyl Enol Ether with Silylethyne"J. Am. Chem. Soc.. 121. 4074-4075 (1999)
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[Publications] Y. Kido, S. Yoshimura, M. Yamaguchi, and T. Uchimare: "Aromatic β-Silylethenylation Reactions via Organogallium Compounds"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 1445-1458 (1999)