1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11120238
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
根本 尚夫 徳島大学, 薬学部, 助教授 (30208293)
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Keywords | ホウ素クラスター / オルトーカルボラン / ニド型ホウ素クラスター |
Research Abstract |
イコサヘドラル型構造のホウ素クラスターであるオルトーカルボラン骨格内の炭素原子が通常の炭素とは異なる特殊環境下であることを利用して,新規な化学反応の開発を目指した。まず,主に炭素-炭素結合生成反応の開発を目指して,遷移金属触媒を利用した化学反応を検討した。これまでにパラジウム触媒を用いた炭素-炭素結合生成反応に成功しているので,こういったパラジウム,ロジウム,ルテニウム錯体等のd軌道電子の占有率が高い遷移金属触媒により,オルトーカルボラン骨格内の炭素-水素結合を活性化させ,反sp^2,sp炭素との結合生成反応を行ったが目的の反応は進行しなかった。これはオルトーカルボラン誘導体がクラスター内の炭素-水素結合の活性化によりホウ素-水素結合の活性化が優先するためと考えると説明できる。そのため目的の反応を主反応にするにはさらなる検討が必要と考えた。そこで炭素-水素結合を炭素-ケイ素結合に置き換えて反応を行ったが反応性はほとんど変化しなかった。次に,炭素-水素結合を炭素-臭素結合に置き換えた化合物の反応を検討した。多くの電子豊富な反応剤は同分子内あるいは別分子内のホウ素-水素結合を活性化し,これによる炭素-臭素結合の還元反応が進行した。これに対し1級アミンではオルトーカルボラン骨格がニド型クラスターへ化学変化するという異なる結果が得られた。これは1級アミンの場合,ホウ素-水素結合の活性化でなく,クラスター内の炭素-ホウ素結合の活性化に関与したと考えると説明できる。従来,オルトーカルボランを高水溶性のニド型クラスターへ変換するには高温と高塩基性条件が必要とされたが,臭素化誘導体は短時間・室温でこの反応を行える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Nemoto, R.Ma, T.Ibaragi, I.Suzuki, M.Shibuya: "Development of a Method for the Synthesis of α-Azido-Masked Acyl Cyanide, Synthetic Equivalents of N-Protected-C-Activated α-Amino Acids"Tetrahedron. 56巻(印刷中). (2000)
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[Publications] M.Wakayama, T.Kawakami, I.Suzuki, H.Nemoto, M.Shibuya: "Decarboxylative Cycloaromatization of Enediyne Model Compounds―Mechanism of the Radical Pathway"Tetrahedron Lett.. 41巻・1号. 95-98 (2000)
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[Publications] H.Nemoto, J.Cai, H.Nakamura, M.Fujiwara, Y.Yamamoto: "The Synthesis of a Carborane Gadolinium-DTPA Complex for Boron Neutron Capture Therapy"J.Organometallic Chem.. 581巻・2号. 170-175 (1999)