1999 Fiscal Year Annual Research Report
SCDaseを用いた糖脂質工学とスーパー糖脂質分子の創製
Project/Area Number |
11121225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 信 九州大学, 農学部, 助教授 (40253512)
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Keywords | 糖脂質 / SCDase / ガングリオシド / スフィンゴ脂質 / ミクロドメイン / 脂肪酸 / 逆反応 / アポトーシス |
Research Abstract |
糖脂質の脂肪酸部分は不均一性を示す。そこで、SCDaseを用いて糖脂質から脂肪酸を切り離した後、縮合反応を用いて目的の脂肪酸分子種を導入し、分子種をそろえた糖脂質の作成を試みた。反応効率は異なるもののリゾGM1やGalSphにC6:0からC24:0の飽和脂肪酸を導入することが可能であった。さらに、C18:1,C18:2,C18:3ハ等の不飽和脂肪酸を導入することができた。逆反応を利用して、[^<14>C]標識した種々の糖脂質やスフィンゴミエリン及びセラミドを高収率で作製する方法を確立した。この高感度セラミドを用いて、微生物で初めてセラミダーゼを発見することができた。この細菌由来のセラミダーゼは、SCDaseとは異なり糖脂質には全く作用しない。一方、SCDaseを用いてアミノ脂肪酸あるいはDHAやEPAなどをリゾスフィンゴ脂質に導入できることも確認している。前者は、スフィンゴ脂質にNBDやダンシル等の蛍光標識の導入を可能にし、後者は機能性高度不飽和脂肪酸を組み込んだスーパーガングリオシドの創製につながる。このように、SCDaseはスフィンゴ脂質から脂肪酸を切り離す「はさみ」の機能と新しい脂肪酸をリゾスフィンゴ脂質に導入する「のり」の機能を合わせ持ち、条件を選ぶことでこれら2つの反応を使い分けることができる。本法によって、スフィンゴ脂質の脂肪酸部分の変換や標識が簡単に行える。従来の化学的な方法に比べて収率や簡便さにおいて格段に優れているばかりでなく、今まで不可能であった例えばポリシアロガングリオシド等にも適用できるので、今後スフィンゴ脂質研究において広く使われることになるだろう。
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[Publications] Ito, M.: "Enzymatic N-deacylation of sphingolipids"Method in Enzymology. 311. 297-303 (1999)
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[Publications] Ito, M.: "Enzymatic synthesis of ^<14>C-ceramide, ^<14>C-glycosphingolipids and ω-amino-ceramide"Method in Enzymology. 311. 682-689 (1999)
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[Publications] Tani, M.: "Specific and sensitive assay for alkaline and neutral ceramidases using C12-NBD-ceramide"J. Biochem. 125・4. 746-749 (1999)
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[Publications] Komori, H.: "Regulation of intracellular ceramide content in B16 nelanoma cells"J. Biol. Chem.. 274・13. 8981-8987 (1999)
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[Publications] Tani, M.: "Purification and characterization of a novel ceramidase from mouse liver"J. Biol. Chem.. 275・5. 3462-3466 (2000)
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[Publications] Nakagawa, T.: "Preparation of fluorescent GM1 and sphingomyelin by the reverse hydrolysis reaction of sphingolipid ceramide N-deacylase"J. Biochem.. 126・3. 111-119 (1999)