1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン会合体のメゾスコピック構造と励起エネルギー移動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
11122221
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理学部, 助教授 (60163664)
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Keywords | 走査型ニアフィールド光学顕微鏡 / フェムト秒白色光 / ニアフィールド吸収分光法 / ポルフィリン / メロシアニン / J-会合体 / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究では,色素会合体,特に水溶性テトラフェニルポルフィリンスルホン酸(TPPS)およびメロシアニン色素の会合体に関して,メゾスコピック領域における構造および光ダイナミクスを走査型ニアフィールド光学顕微鏡(SNOM)を用いて解明することを目的した.まず微小領域における化合物の同定を行うために,増幅したフェムト秒レーザーの自己位相変調によって得られるフェムト秒白色光をプローブ光とするニアフィールド吸収分光法を開発した.本手法により,数十nmから100nm程度の分解能で電子スペクトルを得ることが初めて可能になった.さらに,ピコ秒単一光子計算法およびデコンボリューションの手法をSNOMに組み合わせることにより,微小領域の蛍光寿命を数psの時間分解能で解析可能となった. スピンコートによって作成したTPPS J-会合体フィルムのトポ像から,J-会合体はしばしば高さ約20nm,長さ数μm,幅0.2から0.5μm程度の染色体状構造を作る事を,フェムト秒白色光をプローブ光とするメゾスコピック領域の吸収スペクトル測定,蛍光スペクトル測定によって確認した.また,pH調製により作製したTPPSモノマー薄膜,およびカチオン性高分子と混合することによって得たポリイオンコンプレックススピンコート薄膜の光ダイナミクスを研究した.蛍光SNOM像とトポ像の比較等により,会合体のミクロな分子間相互作用とサブ波長領域の構造の相関を調べた.次にメロシアニン色素のJ-会合体の形成条件を検討し,モノマー溶液だけでも高濃度条件でスピンコートによりJ-会合体が得られること,PVSよりPVAフィルムの方がバンド幅の狭いJ-会合体が得られること等が明らかになった.スピンコートによって得られたロック状のメゾスコピック構造がJ-会合体に由来することを蛍光SNOMの波長依存性,吸収SNOMスペクトルによって解明した.また,メロシアニンのJ-会合体の寿命は約20psであると求まった.
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