1999 Fiscal Year Annual Research Report
複合LB膜の制御された熱分解によるカーボン傾斜薄膜の構造と機能
Project/Area Number |
11124204
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 昇 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (40134259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 貞二 宇都宮大学, 工学部, 教授 (60008068)
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Keywords | カーボンアロイ / 炭素超薄膜 / Langmuir-Blodgett(LB)膜 / ポリイミド / ポリアミック酸アルキルアミン塩 / 高温熱処理 / X線光電子分光 / 電子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
我々は,カプトンH型のポリイミド前駆体であるポリアミック酸のアルキルアミン塩(PAO)を用い,ラングミュアーブロジェット(LB)法によりシリコン基板上に有機超薄膜を作製し,それを1000℃で熱分解することで,4nm程度の炭素超薄膜を作製することに成功している。本研究では,実用的見地からより高温での熱処理の可能性について検討するとともに,作製された膜を原子間力顕微鏡法(AFM)及び光電子分光法(XPS)で評価した. 高温熱処理のための基板としてグラッシーカーボン(GC)を使用したが,そのままではLB膜の累積が不完全であったため,硝酸水溶液中で親水化処理することで累積を完璧なものとし,PAOを51層累積した.この試料に対して,アルゴン雰囲気下800℃での予備加熱処理および1000〜2500℃での高温熱処理を施した. 予備加熱処理後の試料に別のGC基板を被せることでサンドイッチ構造とし,これをグラファイトシートで包み,犠牲剤としての炭素繊維と共にグラファイトボートに入れた.結果として,このような工夫を行うことで,アルゴン中の微量含酸素化合物等による焼失を避けることができ,高温熱処理による炭素化が可能であることを確認できた.また,C1s光電子スペクトルのメインピーク強度とπ-π^* shake upサテライトピーク高さの増加,およびメインピークの半値幅の減少傾向から,加熱温度と共黒鉛化が進行していると推定された.なお,AFM観察により,1000〜2000℃処理試料で炭素薄膜がGC基板上に存在することの可能性が示されたが,GC基板自体のラフネスが大きいため,その膜構造を詳細に把握することはできなかった.
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