1999 Fiscal Year Annual Research Report
熱測定による低温焼成炭素へのリチウムのアロイングの反応機構の解析
Project/Area Number |
11124228
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小久見 善八 京都大学, 工学研究科, 教授 (60110764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 武志 京都大学, 工学研究科, 助手 (80291988)
稲葉 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80243046)
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Keywords | リチウム二次電池 / 低結晶性炭素材料 / 負極 / ヒステリシス / 熱測定 |
Research Abstract |
近年、リチウム金属に代わるリチウム二次電池負極材料として、炭素材料が注目されている。中でも、1000℃未満の低温で処理した低結晶性炭素は黒鉛における理論容量372mAh/gを越える高い比容量を持つが、充放電挙動に大きなヒステリシスが存在し、作動電圧が充電と放電で異なるためエネルギーロスが大きいことなどが問題となっている。ヒステリシスの原因については今までにいくつかのモデルが提案されているが、その原因の詳細に関しては未解明な点が多く残されている。そこで本研究では、種々の温度で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMBs)を用いて定電流充放電測定と同時に熱測定を行い、低結晶性炭素への電気化学的リチウムのアロイング反応を解析し、これによって、低結晶性炭素へのリチウム挿入脱離機構・ヒステリシスの原因を解明することを目的とした。 低温焼成のMCMB700、1000では充放電曲線の平坦部で放電側、充電側ともに発熱が観測された。一方、充放電曲線でヒステリシスの認められないMCMB1800では、放電時に溶媒分解と考えられる発熱が観測された以外は熱量が得ることができなかった。これらの結果より、発熱は電位の平坦部で生じ、また充放電曲線にヒステリシスの存在するものに認められることが分かった。 また、放電、充電ともに発熱することは、リチウムのアロイング、又脱離過程において、何らかの活性化障壁が存在することが分かった。充電時と放電時における熱挙動が可逆でないことから、低結晶性炭素においてはリチウムは炭素層間に挿入した後、活性化過程を伴う後続反応により層間以外のサイトヘ移動するものと考えられる。
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