1999 Fiscal Year Annual Research Report
廃液を肥料として活用する一年生植物資源からの製紙用パルプ製造法開発
Project/Area Number |
11128211
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯山 賢治 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (60012077)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 博幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282693)
|
Keywords | 一年生植物 / イネワラ / ケナフ / 廃液の肥料化 / アンモニアー苛性カリ蒸解 / 脱リグニン / 脱シリカ / ゼロエミッション |
Research Abstract |
我が国では主に木材から製紙用パルプを製造し、国民1人・1年あたり230kgの紙及び板紙を消費している。アジアの発展途上国での紙及び板紙の消費量は極めて少なく、文化的生活にはほど遠い状態である。この紙の生産量の増加を実現するにはパルプ製造装置への投資がはかられねばならないが、もし原料をすべて木材に依存するならば森林の持続的生産量を超えてしまう。一年生の植物及び農産廃棄物からのパルプ製造を進めなければならない。本研究ではイネワラ等農産廃棄物、予め蒸煮爆砕処理したケナフの温和な条件でのアンモニア+水酸化カリ蒸煮を行い、廃水を植物肥料として活用しうる新しいパルプ製造法の開発を行うとともに、廃液の肥料効果の検討を行った。またケナフの二酸化炭素固定能を測定した。 その結果、アンモニア+苛性カリ系蒸解により、イネワラから製紙用パルプの製造が可能であることを明らかにした。ケナフについても白色度は極めて低いものの脱リグニン度は95%に達し、これらの条件で製紙用パルプの製造が可能である。現在、紙力試験可能な条件で試験を継続している。さらに窒素及びカリを含む廃液の肥料としての効果を試験したところ、窒素及びカリウムとともにリグニン等有機物を大量に含んでおり、肥料として極めて有効であることが判明した。またケナフの生育試験を行い、その光合成能の測定及び乾物重量の測定した。その結果、ケナフは二酸化炭素固定能に極めて優れており、その固定能は熱帯雨林による二酸化炭素固定能の数倍にも達することが示された。これら一連の研究の結果から、本技術は完全なゼロエミッション型でしかも低エネルギー投入型の新しいパルプ化であり、地域環境保全のみならず、地球環境保全にとっても重要な技術であることが明らかである。
|
-
[Publications] 朴承榮、松本雄二、飯塚尭介、飯山賢治: "イネワラのアルカリ系蒸解における脱シリカ反応に影響する因子"紙パ技協誌. 53. 214-221 (1999)
-
[Publications] 朴承榮、幸田圭一、松本雄二、飯塚尭介、飯山賢治: "イネワラのアルカリ蒸解過程における脱シリカと脱リグニン挙動との速度論的比較"紙パ技協誌. 53. 1492-1499 (1999)
-
[Publications] 樋口暁浩、飯山賢治、新城健: "熱帯産イネ科植物細胞壁構造と消化性の関係"ルーメン研究会報. 10. 37-41 (1999)
-
[Publications] Iiyama, K.: "Biomass Industrial Complex using wastes from tropical plantations"Targeting Zero Emissions for the Utilization of Renewable Resources. United Nations University, Tokyo. 20-29 (1999)
-
[Publications] Ichikawa, T., Mehitsuka, G. and Iiyama, K.: "Effective utilization of plantation waste biomass-soil conditioner from coconut coir dust"Proc. 10th International Symposium on Wood & Pulping Chemistry, Yokohama, June 1999. 3. 472-475 (1999)
-
[Publications] Higuchi, A., Shinjo, T., Meshitsuka, G, and Iiyama, K.: "Comprehensive evaluation of nutritional value of tropical and subtropical forage grasses"Proc. 10th International Symposium on Wood & Pulping Chemistry, Yokohama, June 1999. 3. 480-483 (1999)
-
[Publications] Lam, T.B.T. and Iiyama, K.: "Characteristics of Senescence Straw Cell Walls of Dwarf, Semidwarf and Normal Strains of Rice (Oryza sativa) plants"J. Wood Sci.. 45(印刷中). (2000)
-
[Publications] Keko Hori, K., Flavier, M.E., Kuga S., Lam, T.B.T. and Iiyama K.: "An excellent oil absorbent, Kapok (Ceiba Pentandra (L.) Gartn.) fiber: its fiber structure, chemical characteristics and application"J. Wood Sci.. 45(印刷中). (2000)