1999 Fiscal Year Annual Research Report
果樹農業地域の肥料成分:無機イオン交換体を媒体としたゼロエミッション化の検討
Project/Area Number |
11128222
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
風間 ふたば 山梨大学, 工学部, 助教授 (00115320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
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Keywords | 肥料成分 / 窒素 / リン / 硝酸性窒素 / 無機イオン交換体 / ハイドロタルサイト系化合物 / パイロライト系化合物 |
Research Abstract |
近年、畑地に施された肥料が原因と考えられる硝酸性窒素による地下水汚染など、農業活動が周辺の環境に及ぼす負荷の増大が懸念されている。農業においてある程度の収量を得ようとすれば施肥は必要だが、施された肥料は全て作物に利用される訳ではなく、必ず余剰分が土壌中に残留する。このうち特に窒素成分は流出しやすい。層状構造をもつ無機イオン交換体の一つハイドロタルサイト系化合物は、無機化合物の中で数少ない陰イオン交換体である。これを土壌中に投入することにより、残留していた肥料成分を一時的に保留でき、適当な時間経過後にそれが作物に利用されるのであれば、肥料成分の環境への負荷を低減できるとともに、収量を減ずることなく施肥量も削減できよう。また農村や周辺の市街地から排出される栄養塩を農地還元するための吸着剤としての使用も考えられる。本研究では、無機イオン交換体をこのような目的に使用することの可能性や使用における問題点などを明らかにすることを目的とした。 合成した化合物のほとんどが市販の陰イオン交換樹脂と同程度のイオン交換容量をもっていた。化合物中にFe^<3+>を含まなければりん酸イオンに対する選択性が高いが、Fe^<3+>を含むと硝酸イオンの選択性が向上することや、Al^<3+>の全てをFe^<3+>で置換したパイロライト系化合物の場合には、炭酸イオンの交換量が増加するとイオン交換を行う層の間隔が狭まる結果、一旦交換されていたイオン半径の大きい他のイオンが排除されることなどがわかってきた。また果樹園より採取した2種の土壌(黒ボク土、灰色低地土)に、パイロライト系化合物を添加して、小型カラム実験により水溶性陰イオンの溶出量をしらべた結果、土壌中であっても純粋系で得られたと同様に窒素成分の吸着と脱着が認められた。しかし陽イオンの溶出量も増すなど、実用に当たって検討しなければならない項目も明確となった。
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