1999 Fiscal Year Annual Research Report
ゼロエミッション化フリーデルクラフツ反応のための触媒設計
Project/Area Number |
11128225
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田川 智彦 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10171571)
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Keywords | 芳香族ゼロエミッション / フリーデルクラフツ反応 / アシル化反応 / ヘテロポリ酸触媒 / 塩素フリープロセス / 副反応制御 / 部分イオン交換 / 触媒再使用 |
Research Abstract |
燃料の環境負荷低減のためガソリン等からの脱芳香族化が法制化されている。これに伴い大量の芳香族化合物が余剰となる。本研究はこの余剰芳香族化合物をファインケミカルズ業界において資源として有効利用する事で、業種間のゼロエミッションシステムを確立する事を目的とし、そのキープロセスであるフリーデルクラフツ反応の改良をはかるため行なった。フリーデルクラフツ反応は塩化アルミニウムを触媒とし、酸塩化物を反応試剤として用いる。これらは最終的に加水分解を経て廃棄されるため、環境負荷の非常に大きなプロセスである。本研究では塩素を使わないプロセスヘの転換を目指し、酸無水物を反応試剤とした系を実現する新しい触媒の設計を試みた。昨年度までにトルエンと無水安息香酸の反応を検討し、セシウムで部分的にイオン交換を行ったタングスト燐酸が最も高い活性を示し、塩素を使用しないフリーデルクラフツプロセスの可能性を示した。また、トルエンの沸点前後で反応率が大きく向上する事が判明した。そこで、本年度は、さらに温度を上げた条件での反応性を検討すべく、オートクレーブを用い加圧下で実験を行った。その結果、150℃では、40分程度で完全添加に至ることを見いだした。この結果を基に、ベンゼンと無水安息香酸の反応を試みた。常圧・環流条件下ではほとんど反応が進行しなかったが、オートクレーブ中で高温条件の反応を行ったところ、120℃で50%、150℃で90%近くまで反応が進行した。反応性の低いベンゼンでも反応が進行する点、注目される。触媒量のことなる2種類の実験において、攪拌速度の影響が認められなかったことから、拡散の影響は少ないと考えられる。これは、触媒が不均一系の固体触媒であっても、反応液中にコロイド状に分散しているためであると推定している。 このように芳香族のゼロエミッションシステムのキープロセスであるフリーデルクラフツアシル化反応は特殊なヘテロポリ酸触媒を用いることで塩素フリーのグリーンプロセスに転換可能であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)