1999 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏と岩石圏間の二酸化炭素グローバルフラックスに関する研究
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11131211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 和久 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80112291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井倉 洋二 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60203270)
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Keywords | 炭素グローバルフラックス / 石灰岩地域 / 化学的風化 / 土壌二酸化炭素 / 炭素循環 / 地球深部二酸化炭素 / 化学平衡 / 安定同位体比 |
Research Abstract |
2年間にわたる定期観測値をもとに,福岡県平尾台における化学風化に伴う炭素フラックスを明らかにした.台の周辺に存在する全ての湧泉について,流出量とHCO_3^-として運び出されるCO_2フラックスを見積もるために,調査を2週間ごとに行った.さらに,台上の4地点において,土壌CO_2の濃度および同位体比測定を行った.HCO_3^-濃度と流量との積をとることで年間に地下水によって運び出されるHCO_3^-量を算出した.より正確なHCO_3^-量を見積もるためには,硫酸による炭酸塩岩の溶解と地下深部に起原をもつCO_2の寄与を差し引く必要があった.単位面積あたりの化学風化に伴い土壌層から地下水に移行するCO_2フラックスを秋吉台における結果と比較すると,両者は比較的よい一致を示した.この値が陸域の炭酸塩岩地域における化学風化に伴うフラックスであると仮定すると,2億トンC/年に相当する. プレート縁辺部の変動帯における地下深部→大気への炭素フラックスの見積りに重要となる炭素の起源を明らかにするために,プローブとして炭素安定同位体比を用いた.昨年から継続して調査を行っている台湾タロコ地域に加えて,中国四川省黄龍渓谷トゥファ堆積物,青森県八甲田山および佐賀県太良町の炭酸泉について調査を行った.台湾タロコの小湧泉から地下深部を起源とする年間100トンCがHCO_3^-として湧出する.また,平尾台においては,全HCO_3^-量の約30%が地下深部CO_2を起源とすることが明かとなった.中国四川省の黄龍渓谷では標高3,550mの地点から湧出する湧泉が流下する間に大量の炭酸塩を沈殿させ,厚いところでは層厚400mにも達していた.1atmの高濃度CO_2が炭酸カルシウムを溶解し,炭素同位体比は大きな値をとった.青森県八甲田山および太良町のボーリング井からは高濃度CO_2が噴出しており,地下深部から供給されているものと推測される.これらの調査については,同位体比測定およびデータ整理が十分に終わっていないので,今後さらに検討を続ける予定である.このような現象は,プレート境界では普遍的におこる現象と考えられ,火山ガスや地熱流体から大気圏へのフラックスとともに,再検討する必要があることが明らかとなった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S. Matsuoka, Y. Tennichi, K. Takehara and K. Yoshimura: "Flow analysis of micro amounts of chromium(III)and(VI)in natural water by solid phase absorptiometry using diphenylcarbazide. Analyst, Flow analysis of micro amounts of choromium(III)and(VI)in natural water by solid phase absorptiometry using diphenylcarbazide"Analyst(London). 124巻5号. 787-792 (1999)
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[Publications] K. Yoshimura, et al.: "Stable isotpoic and geochemical studies on natural water in the Taroko Gorge karst area, Taiwan."(発表予定).
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[Publications] 吉村和久・井倉洋二: "日本地下水学会編「地下水水質化学:基礎と応用」"理工図書. (2000)