1999 Fiscal Year Annual Research Report
アズレン環および関連するπ共役系を用いた新規拡張π共役系化合物の合成に関する研究
Project/Area Number |
11133205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 昇 東北大学, 理学研究科, 教授 (90005819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 俊司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10213042)
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Keywords | アズレン / カチオン / ジシアノキノジメタン / 拡張π共役系 / 鉄トリカルボニル錯体 / チオフェン / ラジカル / アニオン |
Research Abstract |
1.アズレン環の高い分極効果を利用した・ラジカル・アニオン種の安定化 新たにチオフェンがアズレン環に縮環した安定なカチオンを合成し、その安定化の効果を明らかにした。さらに6-アズレンニル基と2個の1-アズレニル基を組み合わせたメチルカチオンを合成し、その酸化還元的挙動についての検討を行なった。その結果、ラジカルやアニオン種の安定性が増大したため+0.89Vに可逆な酸化波、-0.56とー0.74Vに可逆な還元波を示すことを明かにした。2. ジアズレニルジシアノキノジメタンの2量化 アズレン環により拡張されたジシアノキノジメタンを合成し、そのUVやCVを用いて分極特性に関する研究を行ない、合成したジアズレニルジシアノキノジメタンは酸化によりニ量化が起こることを明かにした。3. スペーサーとしてジフェニルアセチレンを用いた安定なジカチオンの合成 二つ以上のジアズレニルメチルカチオンの間に色々なスペーサーを導入したジカチオンを合成しその性質を明らかにした。4. 新規拡張π共役系骨格の合成 アズレンニルチオン類よりチオフェンを含む新しいπ電子系を与える条件を見いだした。これより硫黄を含んだ新しいπ共役カチオンへ変換しスペクトル的な性質から周辺12π電子系より式に示した七員環がカチオンになった構造の寄与が大きいことを明らかにした。5. アズレン誘導体鉄トリカルボニル錯体合成方法の開発 シクロヘプタトリエン鉄錯体と8-オキソヘプタフルベンの[ 2+8 ] π付加体からアズレンを含むπ共役系化合物のトリカルボニル鉄錯体への変換法の検討を行なった。その結果二段階でアズレンを含むπ電子系が鉄に配位した錯体の新たな合成方法を開発することができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S. Ito, S. Kikuchi, N. Morita,: "Synthesis and Properties of Extremely Stable tris(6-methoxy-1-azulenyl)-methyl Cation and aSeries of Di(1-azulenyl)phenylmethyl"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 839-849 (1999)
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[Publications] S. Ito, S. Kikuchi, N. Morita,: "Tris[6-(dimethylamino)-1-azulenyl]methyl Hexafluorophosphate, Extremely Stable Met hyl Cation with the Highest pKR+Value"J. Org. Chem.. 64. 5815-5821 (1999)
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[Publications] S.Ito, N. Morita, T. Asano: "Decarbonylation Reaction of 1-Azulenecarbaldehydes under Mild Conditions. Astrategy for the Protection of 1-and/or 3-Position of Azulene Rings"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 2543-2548 (1999)