1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11133251
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 正人 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50137030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊与田 正彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50115995)
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Keywords | 環状共役系化合物 / 金属錯体 / 縮合多環状炭化水素 |
Research Abstract |
all-Z-[n]ベンゾ[4n]アヌレン(1)はC_<nv>対称を有する円筒状の共役系であり、その環状共役系としての性質や、中央の空孔を利用した包接現象や錯形成という点から興味が持たれる。さらには1はフラーレンC_<60>やカーボンナノチューブの部品構造であるポリフェン型縮合多環炭化水素(2)の合成前駆体であるとも考えられる。この様な観点から、最近我々は1の系統的合成法を確立し2への変換を検討することを目的として研究を行ってきた。基本的な1の合成戦略として、連続したcis-スチルベン骨格を持ったジアルデヒド体を前駆体とし、分子内ピナコールカップリングとCovey-Winter反応を用いて最後の二重結合を構築するという方法を確立し、1a(n=3),1b(n=4),1c(n=5),1d(n=6)の合成を既に行っている。今年度は特に1a-1cと金属との錯形成を中心に検討した。 1a-1cともAgOTfやAgClO_4と反応させることにより錯体を生成した。その溶液中および固体状態での構造をそれぞれ'H-NMR、X線構造解析で決定した。1aにおいては、溶液中、固体状態とも銀カチオンは三つのオレフィンの中央部分に位置していることがわかった。1aの環構造が固定されているのに対し、環構造が大きくなった1b,1cではコンホメーション変化は自由に行われているが、銀が配位することによりその動きが固定されることが'H-NMRの測定からわかった。1b-AgClO_4および1c-AgClO_4のX線構造解析を行いその固体状態での構造も決定した。 以上のように、本研究では1の合成法を確立し、その分子構造、金属との錯体形成について明らかにしてきたので、今後、さらに1から2への変換に興味が持たれる。
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[Publications] 桑谷善之: "Isolation of Two Conformers of Z,Z-Tribenzo[c,g,k][12]annulene-1,2-dione"Tetrahedron Letters. 40. 2961-2964 (1999)
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[Publications] 桑谷善之: "All-Z-Tribenzo[12]-,Tribenzo[16]-and Pentabenzo[20]annulenes"Tetrahedron Letters. 41. 357-363 (2000)
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[Publications] 吉田正人: "Efficint Synthesis of Fullerene Dimers Containing A Fluoroalky Group"Tetrahedron Letters. 40. 735-736 (1999)