1999 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合を駆動力にするロタキサンの合成反応の開発―分子デバイスの開発に向けて-
Project/Area Number |
11133258
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木原 伸浩 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30214852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 十志和 大阪府立大学, 工学部, 教授 (40179445)
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Keywords | ロタキサン / クラウンエーテル / アンモニウム塩 / 水素結合 / ホスフィン / アシル化 / ジスルフィド / アミド化 |
Research Abstract |
ロタキサンは分子デバイスの構築単位として魅力的である。本研究は、水素結合を駆動力とするロタキサン合成において、水素結合を破壊しないようなエンドキャッピング法を開発すること、生成するロタキサン中からの水素結合相互作用を除去すること、を目的に検討を行なった。アルコールのアシル化は応用範囲の広い反応であることから、末端に水酸基を有する二級アンモニウム塩とジベンゾ-24-クラウン-8(DB24C8)から生成させた擬ロタキサンのアシル可によるエンドキャップを検討した。その結果、中性のトリブチルホスフィンを触媒として用いることにより、高収率でロタキサンが得られることを見出した。この反応はクロマトグラフィーは一切用いずに大量合成も容易であった。また、この方法を用いて種々のロタキサンが高収率で得られることが明らかとなった。ジスルフィド結合が適切な条件下では可逆的に切断-再形成が可能なことから、熱力学的支配によるロタキサン合成を検討した。ジスルフィド結合を持つジアンモニウム塩とDB24C8の混合物にベンセンチオールを添加すると、硫黄上への求核反応によりジスルフィドが可逆的に切断-再形成されると共にクラウンエーテルがジスルフィドに入り込み、〔2〕ロタキサンと〔3〕ロタキサンが得られることを明らかにした。さらに、反応条件を適切に選ぶことによりそれぞれのロタキサンを高収率で作り分けることができた。ロタキサンのアンモニウム塩部位はクラウンエーテルとの強い水素結合のため強塩基を用いても中和できない。しかし、過剰のトリエチルアミン存在下で過剰の無水酢酸で処理したところ、ゆっくりと反応が進行し、N-アシル化された非イオン性ロタキサンが定量的に得られることが明らかとなった。この方法を用いることにより、種々の官能基化されたロタキサンを得ることができた。
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[Publications] T. Takata: "Radically Polymerizable Pseudorotaxane Monomers : Versatile Building Units for Sidc Chain Polyrotaxanc Synthesis"Chem. Lett.. (2). 111-112 (1999)
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[Publications] T. Takata: "Conjugate Addition-Approach to End-Capping of Pseudorotaxanes for Rotaxane Synthesis"Chem. Lett.. (3). 223-224 (1999)
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[Publications] N. Watanabe: "Synthesis and Structure of [2] Catenated Tertiary Octamide and Octamine"Chem. Lett.. (9). 915-916 (1999)
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[Publications] H. Kawasaki: "High Yielding and Practical Synthesis of Rotaxanes by Acylative End-Capping Catalyzed by Tributylphosphine"Chem. Lett.. (10). 1015-1016 (1999)
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[Publications] Y. Furusho: ""Unlock-lock" Approach to [2] and [3] Rotaxanes : Entering of a Ring through Disulfide Linkage That is Unlocked by Thiol "Key""Chem. Lett.. (1). 18-19 (2000)