1999 Fiscal Year Annual Research Report
高密度プロチウム合金におけるプロチウム移動機構の解明
Project/Area Number |
11135209
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 吾朗 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80158758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 健 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (40303185)
田中 紘一 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90143817)
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Keywords | プロチウム / 水素 / 高密度プロチウム合金 / 水素吸蔵合金 / 拡散経路 / ナノインデンテーション法 / 水素マイクロプリント法 / 異相界面 |
Research Abstract |
高密度プロチウム合金ではまだ試みられていない水素マイクロプリント(HMP)法とナノインデンテーション法による実験的解析により,プロチウムの移動経路,移動機構をまず現象論的に明らかにすることを目的とした。HMP法では,プロチウムを含む試料の表面を写真乳剤で被覆した後,試料内部から移動し表面で放出されるプロチウムの還元作用を利用し,反応により生じる銀粒子を下地の試料の金属組織と対応させて観察することにより,移動するプロチウムの分布を可視化できる。一方ナノインデンテーション試験では,荷重-変位曲線から弾性係数や硬さが求められ,またプロチウムが固溶したり,水素化物を作れば,固溶軟化を生じたり,結合様式の変化に伴う弾性率変化を生じることが分かっているので,局所的な水素の固溶や水素化物形成が検出可能となる。 試料は,高周波誘導溶解・金型鋳造により作製したMg_2Ni系合金鋳塊である。この鋳塊に対してジーベルツ型の装置を用いて,250℃,0.9MPaでプロチウムを約0.1mass%吸蔵させた。この試料を研磨後,光学顕微鏡で試料表面組織を確認しながら,三角錐圧子を用いてナノインデンテーション試験を行った。その結果,プロチウムを吸蔵しないとされるMgNi_2相に比べて,プロチウムを吸蔵するMg_2Ni相のほうが軟らかいことが分かった。次にHMP法を行うために,上記試料表面に写真乳剤を被覆し,吸蔵したプロチウムを放出させる目的で,室温の真空中に24h保持した。そして試料とともに,現像・定着を行い,SEMにより試料表面を観察した。観察の結果,Mg_2Ni/MgNi_2界面を経路としてプロチウムが移動すると推察された。ただし,この系の合金の限界近くまでプロチウムを吸蔵させた場合の移動経路については,今後さらに詳しく検討する必要があると思われた。
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