1999 Fiscal Year Annual Research Report
多核錯体における異常原子価の創生と光による原子間電子移動の制御
Project/Area Number |
11136238
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 米藏 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30037262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 昌則 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50037298)
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Keywords | 動的電子状態 / 多核錯体 / メスバウアー効果 |
Research Abstract |
[Fe^<II>FeND^<III>ND_2O(az-benz)ND_6(py)ND_3]3pyでは、3つの鉄原子のうち2つの鉄原子間でのみ電子移動が起こる、という非常に珍しい挙動が見られた。温度上昇とともに2価の鉄と1つの3価の鉄原子間で電子の非局在化が起こり、しだいに電子移動速度が速くなり、150Kにおいては2.5価と3価の鉄の吸収面積の割合が2:1となった。78Kのスペクトルは、すでに鉄(II,III)原子間での原子価の非局在化が始まっていることを示した。[Fe^<II>FeND^<III>ND_2O(az-benz)ND_6(py)ND_3]3pyの分子構造を解析した。構造解析は293,150,85Kの3点で行った。分子中に1つの鉄(III)と中央の酸素原子をとおる2回軸があり、鉄と配位原子との結合距離から、1つの鉄(III)と鉄(II)が構造的に等価であることを示した。85Kで、1つの鉄(III)と鉄(II)が等価であることは、メスバウアースペクトルから得られる結論と一致しない。メスバウアースペクトルは、それぞれの鉄原子を時間分解能、10^<-7>秒で観測するにに対し、X線回折線では約500nmの構造の平均値を観測してためである。原子価が揺動している2個の鉄原子に配位しているピリジンの平面は、3個の鉄原子が形成する平面に平行であった。残る1個の鉄(III)原子に配位しているピリジンの平面は、3個の鉄原子が形成する平面にほぼ垂直になっていた。この錯体を真空中に長時間保存して溶媒分子(ピリジン)を取り除くと、局在化した原子価状態を示した。 [Fe_2(bpmp)(X(CH_2)_nCOO)_2]BF_4では、Xにcuclohexane誘導体を選び、鉄(II,III)原子の原子化の揺動をめざした。その結果、Xが長鎖のカルボン酸になると鉄(II,III)原子の原子価が揺動することが解った。さらに、この錯体では78Kでも一部すでに非局在化原子価状態が現れること、またcyclohexaneの構造の立体異性が関係するため、均一な原子価の揺動が現れないという特徴があることが解った。
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[Publications] 前田米蔵他4名: "Intermolecular Excimer Formation in Dinuclear Metal Complexes"Chem. Lett.,. 1999. 1151-1152 (1999)
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[Publications] 前田米蔵他2名: "Study of Mixed-Valence Dinuclear Iron(II,III)Complexes[Fe_2(bpmp)I_2](BF_4)_2 : Asymmetrically Delocalized Valence States"J. Radioanal. Nucle. Chem.,. 239. 267-271 (1999)
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[Publications] 前田米蔵他6名: "Crystal Structures and Mossbouer Spectra of Mixed-Valence Dinuclear Iron(II,III)Complexes[Fe_2(bpmp)I_2](BF_4)_2 : Dtrapped Valence States"J. Chem. Soc. Dalton Transaction,. 1999. 1001-1011 (1999)