1999 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質3キナーゼの分子多様性とそれらの活性化機構
Project/Area Number |
11139216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40219168)
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Keywords | イノシトールリン脂質3キナーゼ / G蛋白質共役型受容体 / チロシンキナーゼ受容体 / 低分子量G蛋白質 / Rab5 / アダプター蛋白質 |
Research Abstract |
先に我々は,チロシンキナーゼ型とG蛋白質共役型という2種の異なる受容体刺激によって相乗的に活性化されるイノシトールリン脂質3-キナーゼ(PI3K)として,110-kDaβ触媒(p110β)/85-kDa調節(p85)サブユニットからなる2量体型PI3Kを同定した。本研究では,この分子種のPI3Kを中心にさらに解析を進め,以下の知見を得た。1.構成的に活性化型のp110β-PI3Kと相互作用する分子を酵母のtwo-hybrid系を用いて検索し,低分子量GTPaseファミリーのRab5を同定した。2.Ser/ThrキナーゼのAkt(PKB)は,PI3Kの産物であるPIP3により活性化されるが,インスリン刺激に応答するAktの活性化は,活性化型Rab5の遺伝子導入で増強され,不活性化型Rab5により抑制された。すなわち,チロシンキナーゼ受容体からPI3Kを介するAktの活性化に,Rab5の介在が初めて示された。3.活性化型Rab5の相互作用分子をtwo-hybrid系を用いて検索し,SH2ドメインをもつ新規分子群を同定した。4.エフェクターとしての役割が期待される新規Rab5結合蛋白質群は,初期エンドソームに局在化することが示され,小胞輸送におけるRab5の機能解析の基礎が築かれた。5.リンパ球細胞において,Fcγ受容体刺激でチロシンリン酸化されるPI3Kのアダプター分子として,癌遺伝子産物p120^<c-cbl>と100-kDa蛋白質を同定した。100-kDa蛋白質は、G蛋白質共役型受容体刺激によりそのセリン/スレオニン残基がリン酸化されるというユニークな挙動を示し,Gab2であることを見出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S. Takasuga, et al,: "Enhancement by adenosine of insulin-induced activation o phosphoinositide 3- kinase and protein kinase B in rat adipocytes"J. Biol. Chem.. 274. 19545-19550 (1999)
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[Publications] T. Nakano, et al.: "G-Protein betagamma subunit-dependent phosphorylation of 62-kDa protein in the early signaling pathway of starfish oocyte maturation induced by 1-methladenine"Developmental Biology. 209. 200-209 (1999)
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[Publications] T. Katada, et al.: "Synergistic activation of a family of phosphoinositide 3- kinase via G-protein coupled and tyrosine kinase-related receptors"Chemistry and Physics of Lipids. 98. 79-86 (1999)
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[Publications] 黒須洋、堅田利明: "PI3-キナーゼの多様性と機能"実験医学(羊土社). 17. 1206-1211 (1999)
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[Publications] 堅田利明(分担): "シグナル伝達 総集編 (竹縄忠臣編)"羊土社. 235 (1999)