1999 Fiscal Year Annual Research Report
チューブリンを分子標的とした新しい抗腫瘍物質の探索と開発
Project/Area Number |
11140205
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
繁森 英幸 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70202108)
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Keywords | 日本産イチイ / チューブリン / 重合阻害活性 / 微小管脱重合阻害活性 / P-糖蛋白質阻害活性 / 耐性克服作用 / タキサン化合物 / ペプチド |
Research Abstract |
チューブリンに作用を示す化合物はDNA複製を阻害する多くの抗癌剤が効力を失った癌に対しても有効であると期待されている。これまでに広範囲な天然物を材料として微小管脱重合阻害活性を指標としてスクリーニングを行い、日本産イチイから顕著な活性を示す数種のタキサン化合物を単離してきた。また、タキサン化合物のいくつかに多剤耐性癌細胞に対する克服作用のあることも見い出した。そこで本研究では、さらにチューブリン重合阻害および微小管脱重合阻害活性を指標としてスクリーニングを行うとともに耐性克服作用についても検討し、新しい抗腫瘍物質の探索および開発を行った。以下に本年度の研究成果の概要を報告する。 チューブリン重合阻害ならびに微小管脱重合阻害活性を指標にして、種々の天然物より活性成分の検索を行った結果、数種の活性物質を見い出した。(1)ノゲイトウCelosia argenteaの種子より単離した二環性の環状ペプチドであるモロイジンには、コルヒチンよりも強いチューブリン重合阻害活性が認められた。(2)日本産イチイTaxus cuspidataの種子より単離した新規タキサン化合物タキセゾピジンKおよびLに、顕著な微小管脱重合阻害活性が認められた。タキソールの微小管脱重合阻害活性の発現に重要とされるフェニルイソセリン基やオキセタン環の両方をもたないタキサン化合物に、微小管脱重合阻害活性が認められたのは興味深い。また、タキセゾピジンKの関連化合物タキサスピンDは、タキソールと同様にウニ受精卵における紡錘体の異常形成を引き起こすことがわかった。(3)日本産イチイより単離したタキサン化合物タキシニンを用いて種々誘導反応を行い、40種の化合物を合成した。これらの化合物についてP-糖蛋白質阻害活性を調べた結果、2種の化合物に顕著な活性が認められた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Hosoyama: "Modulation of multidrug resistance in tumor cells by taxinine derivatives"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 9. 389-394 (1999)
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[Publications] H.Shigemori: "Taxezopidines J, K, and L, new taxoids from Taxus cuspidata inhibiting Ca^<2+>-induced depolymerization of microtubules"Tetrahedron. 55. 2553-2558 (1999)
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[Publications] H.Hosoyama: "Unusual boron trifluoride-catalyzed reactions of taxinine derivatives with α-and β-4(20)-epoxides"Tetrahedron Lett.. 40. 2149-2152 (1999)
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[Publications] H.Hosoyama: "Further unexpected boron trifluoride-catalyzed reactions of taxoids with α-and β-4(40)-epoxides"J.Chem.Soc., Perkin Trans.1. 8. 449-452 (2000)
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[Publications] H.Morita: "Antimititic activity of moroidin, a bicyclic peptide from the seeds of Celosia argentea"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 10(in press). (2000)