1999 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子治療の基盤となる遺伝子in vivoデリバリー法の開発
Project/Area Number |
11140233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
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Keywords | 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / 体内動態 / キャリアー / ターゲティング / エンドサイトーシス / 細胞内動態 / 膜融合性ペプチド |
Research Abstract |
近年、癌治療において、遺伝子を直接体内に投与し標的の癌細胞に送り込むことにより治療を行うin vivo癌遺伝子治療法が注目を集めている。しかしながら、本治療法の確立に必要な生体適用後の遺伝子の体内動態と発現効率の関係等に関する基礎的情報は極めて乏しく、遺伝子治療医薬品の"適用"に関する方法論の開発は著しく遅れている。現在、安全性に優れる非ウイルスベクターの開発が望まれており、薬物治療において実績が積まれているドラッグデリバリーシステム(DDS)技術の導入は、癌遺伝子治療の可能性を大きく発展させるものと期待されている。そこで本研究では、in vivoで安全かつ効率的に標的癌細胞に遺伝子を導入できる方法論の確立を目的に、遺伝子医薬品を全身的に適用した際の体内動態のみならず遺伝子医薬品が標的細胞内の作用部位まで到達する一連の過程を総合的に制御することのできる標的指向型DDSの開発を試みた。腫瘍組織同様高い毛細血管透過性を有する肝臓をモデルのターゲット臓器に設定し、さらに全身的に投与された遺伝子医薬品が血管外に漏出した後、標的細胞を特異的に認識する機構を介して取り込まれる機構のモデルとして、肝実質細胞に発現しているアシアロ糖タンパク質受容体を介したエンドサイトーシスの機構を選択した。一つのキャリアーシステムで全身レベルの体内動態と標的細胞到達後の細胞内動態とを同時にコントロールできるDual機能を有したシステムとして、糖修飾高分子と膜融合性ペプチドとを組み合わせた新規キャリアーを合成し、マウスを用いた動物実験によりその有用性を評価した。その結果、投与した遺伝子は標的細胞である肝実質細胞にアシアロ糖タンパク質受容体を介して効率よく取り込まれると共に、細胞内においてペプチドの作用により遺伝子の細胞質への移行性が改善された結果、選択的かつ高い遺伝子発現が得られることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takehiko Nomura: "Gene expression and antitumor effects following direct interferon (IFN)-γ gene transfer with naked plasmid DNA and DC-chol liposome complexes in mice"Gene Therapy. 6(1). 121-129 (1999)
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[Publications] Makiya Nishikawa: "Hepatocyte-targeted in vivo gene expression by intravenous injection of plasmid DNA complexed with synthetic multi-functional gene delivery system"Gene Therapy. (in press).