1999 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸プロテアーゼ活性中心をターゲットとしてデザインされた阻害剤の開発
Project/Area Number |
11144240
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木曽 良明 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40089107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 徹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70204980)
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Keywords | アスパラギン酸プロテアーゼ / HIVプロテアーゼ阻害剤 / ペプチドミメティック / 抗ウイルス薬 / ドラッグデザイン / 酵素活性中心 / ペプチド合成 / 酵素・阻害剤複合体 |
Research Abstract |
我々は,酵素分子活性中心の基質遷移状態のコンフォメーションを固定したミミックをデザインするという新しい論理的な方法を用いてキノスタチン(KNI)-272をはじめとする高活性高選択性阻害剤を合成することに成功した.この有用な方法を,細胞内およびウイルスプロテアーゼ阻害剤のデザインに応用し,基質遷移状態誘導体と酵素の相互作用の解析から阻害剤を分子設計し,それに基づいてペプチドミミックを合成し,メカニズムの明確なプロテアーゼ阻害剤開発の一般的論法を確立することを本研究の目的とした.また本研究によってカテプシンDなどの細胞内ならびにウイルスプロテアーゼの蛋白分解反応の分子機構を解明をめざした. HIVプロテアーゼとその誘導体として,チオエーテル置換誘導体,ジスルフィド結合架橋により共有結合したダイマー酵素も合成した.阻害剤は遷移状態誘導体の概念に基づいてプロテアーゼに特徴的な基質の切断部位Phe-ProおよびLeu-Val(P1-P1')のアミド結合をイソステリックな還元型[CH_2-NH],ヒドロキシエチレン型[CHOH-CH_2]等に変換し,各基質遷移状態誘導体に合成した.また,阻害剤の低分子化も試みてジペプチド阻害剤も合成した. 酵素・阻害剤複合体を形成させてNMR解析を行った結果,活性中心のアスパラギン酸(Asp25とAsp125)のイオン化状態が,結合しているプロテアーゼ阻害剤のタイプにより異なり,従来同一の作用機構を有すると考えられていた活性中心標的型プロテアーゼ阻害剤がそれぞれ異なるメカニズムにより酵素阻害作用を発現することを明らかにした.また,トリペプチドHIVプロテアーゼ阻害剤KNI-529が,HIVプロテアーゼとの複合体中で,解離することなしに配向を反転させているという興味ある結果も得られた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Estuko Kato: "Determination of the Rats of Monomer Interchange in a Ligand-Bound Homodimeric Protein for NOESY Cross Peaks:Application to the HIV Protease/KIN-529 Complex"J.Amer.Chem.Soc.. 121・11. 2607-2608 (1999)
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[Publications] Tsutomu Mimoto: "Structure-activity relationship of small-sized HIV protease inhibitors containing allophenylnorstatione"J.Med.Chem.. 42・10. 1789-7802 (1999)
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[Publications] Yoshiaki Kiso: "Small Dipeptide-Based HIV Protease Inhibitors Containing the Hydroxymethylcarbonyl Isostere as an Ideal Transition-State Mimic"Biopolymers. 51・1. 59-68 (1999)
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[Publications] Kenichi Akaji: "Total synthesis of thiangazole"Tetrahedron. 55・35. 10685-10694 (1999)
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[Publications] Yoshiaki Kiso: "Design of small peptidomimetic HIV-1 protease inhibitors and prodrug forms"Letters in Peptide Science. 6・5. 275-281 (1999)
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[Publications] Yoshio Hayashi: "Structure-activity relationship studies of chloromethyl ketone derivatives for selective human chymase inhibitors"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 10・3. 199-201 (2000)
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[Publications] 木曽良明: "廣川有機薬化学実験講座第1巻―創薬指向の分子設計:第5章HIVプロテアーゼ阻害剤"廣川書店. 245 (2000)