1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11145215
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
阪口 豊 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教授 (40205737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 道昭 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助手 (10301178)
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Keywords | 到達運動 / 運動制御 / 計算モデル / 二重課題 / 運動計画 / 運動プログラム |
Research Abstract |
視覚的に与えられた目標に対して到達運動を行なう際の脳内過程を解明するため,心理実験と計算理論の手法を用いて研究を行なった.今年度は,二重課題の手法を用いた心理実験により運動指令生成の脳内過程の一端をつかむ結果を得たほか,そのメカニズムを説明する計算モデルを考案した. 実験において,被験者は,目標が提示されるとすぐに目標に対して手先を動かすとともに,音が提示されるとすぐに音の高低をマウスのボタンを使って答える.目標提示から音提示までの時間間隔を50-1250msの範囲でランダムに定め,音課題の反応時間が到達運動の進行とともにどのように変化するかを分析した. その結果,音刺激の反応時間は,目標提示直後に増加しいったん急激に減少したのち,運動開始から運動終了に向けてゆっくりと減少することがわかった.このほか,運動終了200msごろに反応時間の最小値が急減する現象も見られた.また,対照実験の結果から,これらの現象は到達運動の実行に特有であることが明らかになった. 音課題の反応時間が到達運動のフェーズに応じてさまざまな影響を受けたという事実は,到達運動の実行において,複数のプロセスが運動の進行とともに役割を交代しながら関与していることを強く示唆する. 一方,運動指令生成の計算モデルに関しては,運動指令計画系と制御系が一体となったモデルを考えることで,昨年度の研究で明らかになった眼球運動の影響と上述した二重課題干渉を説明できるものを構成した.このモデルは,筋骨格系の順ダイナミクスモデルを用いて到達点を予測しながら適切な運動指令を選択するもので,その計算を運動実行中にオンラインで行なうことで運動開始後の環境変化に追随できる. このモデルは全体の骨格を定めた段階であり,今後アルゴリズムを具体化して数値実験を行なうことにより,その振舞いを検証し,モデルの有効性を示す必要がある.
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Research Products
(1 results)