1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11147214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三田村 俊秀 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80268846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井 久美子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (00187907)
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Keywords | マラリア原虫 / Plasmodium falciparum / 細胞増殖 / 細胞周期 / 脂肪酸 / 血清アルブミン |
Research Abstract |
マラリア原虫細胞の増殖形態が、同じ単細胞生物である酵母とは大きく異なり、むしろ、多細胞生物である動物細胞のそれに似ている可能性があるというユニークな特徴に着目し、原虫を題材とした細胞増殖機構に関する研究を続けている。これまでの研究から、赤血球期熱帯熱マラリア原虫の細胞増殖に必須な血清中因子は、血清アルブミンに結合している飽和/不飽和脂肪酸の混合物(パルミチン酸とオレイン酸の組み合わせが至適)であり、パルミチン酸・オレイン酸は、赤血球期原虫細胞の形態変化、ならびに、細胞周期進行において、重要な働きを担っていることを形態学的、生化学的な解析により明らかにしてきた。本年度は、原虫細胞の増殖に必須な脂肪酸の細胞周期進行とそれに伴う細胞の形態変化における役割を解析するために、原虫細胞が必須脂肪酸を要求する時期を区分けすることを試みた。同調培養系を用いた形態学的観察を基本とした解析から、以下のような結論を導くことができた。不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、リング期からトロフォゾイト期の形態変化の進行に必須であり、トロフォゾイト期後のシゾント期の形態変化の進行には、両必須脂肪酸が必須であること。必須脂肪酸を加えなくても、リング期の形態変化の進行は見た目に影響を受けないが、必須脂肪酸を加えた場合に比べて、つぎのサイクルに入れる原虫細胞の数が減少すること。メロゾイトの放出、または、新たな赤血球への侵入には、必須脂肪酸を必要としないこと。今後は、この成果をもとに各必須脂肪酸が各時期で、どのような代謝産物になるか、また、それらに関与する代謝系の酵素群の生化学的解析、さらには、必須脂肪酸の取り込みに関与する原虫側因子群の同定が必要である。
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