1999 Fiscal Year Annual Research Report
不活化スポロゾイトの免疫による赤内型マラリア原虫に対する防御免疫誘導機構
Project/Area Number |
11147226
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
由井 克之 長崎大学, 医学部, 教授 (90274638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜殿 平一郎 長崎大学, 医学部, 助教授 (50260659)
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Keywords | マラリア / 抗原 / 原虫 / 免疫 / 感染 / 防御 |
Research Abstract |
X線照射により不活化したPlasmodium yoelii(P.yoelii)スポロゾイトで繰り返しマウスを免疫することにより、抗マラリア原虫抗血清を作成した。この抗血清を用い、Western blot法で赤内型原虫抗原を解析することにより、複数の抗原を同定した。主要なものは、P.yoelii HSP70、MSP1抗原及び未同定の抗原であった。これらの抗原は、肝細胞期と赤血球期原虫の両者に発現されると考えられる。赤内型P.yoelii のcDNAライブラリーを作成し、P.falciparum HSP70のプローブでスクリーニングすることにより、P.yoelii HSP70のcDNAをクローニングした。また抗血清で同ライブラリーをスクリーニングすることにより、新たなマラリア原虫抗原cDNAをクローニングした。この新抗原cDNAの全塩基配列はまだ決定されていないが、従来同定されていない新しい原虫抗原であることが明らかになっている。 MSP1が赤内型と肝細胞期両者に発現されることから、MSP1抗原C末端のEGF様ドメインを含む15kDaペプチド断片とマウスHSP70との組換え融合分子を作成した。他のアジュバントなしでこの融合蛋白で免疫することにより、肝細胞期と赤血球期両者に有効な防御免疫を誘導することに成功した。C57BL/6マウスではスポロゾイト感染後赤内型原虫が全く出現せず、肝細胞期における感染阻止が示された。この防御免疫能は、血中抗MSP1抗体価とは直接の相関がなかった。一方、免疫マウスは赤内型原虫の感染に対しても抵抗性を示した。このことから、MSP1/HSP70融合蛋白ワクチンの免疫により肝細胞型と赤内型両者に有効な防御免疫が誘導されると考えられた。
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[Publications] Yui,K.: "T cell tolerance,autoimmunity,and host defense"Acta Medica Nagasakientia. 14. 1-10 (1999)