1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11149224
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
冨田 勝 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60227626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 洋一 慶應義塾大学, 環境情報学部, 助手 (20317316)
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Keywords | 細胞代謝 / シミュレーション / 細胞モデル / 仮想細胞 / E-CELL / 赤血球 |
Research Abstract |
E-CELLシステムを用いた実在する細胞のシミュレーションとして、実験より得られたデータに基づいたヒト赤血球細胞シミュレーションモデルを構築した。これは主な代謝経路である解糖系、ペントースリン酸経路、核酸代謝系から成っており、また、これらの経路に関わる酵素活性へのpHの影響や、浸透圧による赤血球の体積変化、ヘモグロビンによるO2運搬、CO2のpH緩衝作用などについても詳細に表現している。このモデルは定常状態に達しており、実験で確認されている赤血球の状態を再現することができた。 今回、このモデルを用いて、赤血球の疾患として多く見られる先天的代謝系酵素異常疾患のシミュレーションを行った。これら先天的疾患のうち、Glucose-6-Phosphate dehydrogenase(G6PDH),Hexokinase(HK),Phosphofructokinase(PFK),Pyruvate Kinase(PK)の4つの全律速酵素において、正常酵素の反応速度パラメータを文献より得られた異常酵素のものと入れ替え、シミュレーションを実行してこの異常状態における様子を解析した。HK、PHK、PK 各欠損症におけるシミュレーション結果は、ATPの産生の減少や、直前の代謝物質の蓄積が認められた。また、G6PDH欠損症においては、赤血球内の各種還元反応を担うGSHの産生が停止するなど、実際の欠損症における病態に近い反応を示した。また、これまでこれらの先天的疾患の治療法として用いられてきた方法についてシミュレーション上での再現を試みた。
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[Publications] 冨田 勝、 中山 洋一: "The E-CELL Project: Towards Integrative Simulation of Cellular Processes"New Generation Computing. Vol. 18 No. 1. 1-12 (2000)
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[Publications] 斎藤 輪太郎、 冨田 勝: "Computer analysis of archaebacterial genomes suggest that they employ both eucaryotic and eubacterial mechanisms in translation initiation"Gene. Vol. 238. 79-83 (1999)
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[Publications] 長田木綿子、冨田 勝: "Analysis of basepairing potentials between 16S γRNA and 5 UTR for translation initiation in various prokaryotes"Bioinformatics. Vol. 15. 578-581 (1999)
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[Publications] 冨田 勝、和田 理彦: "ApA Dinucleotide periodicity in Procaryote, Eucaryote and Organelle Genomes"Journal of Molecular Evolution. Vol. 49. 182-192 (1999)