1999 Fiscal Year Annual Research Report
核ゲノム及び葉緑体ゲノムにコードされたタンパク質の協調したチラコイド移行の解析
Project/Area Number |
11151214
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 斗志也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70152014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 周一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10252222)
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
|
Keywords | 葉緑体 / タンパク質輸送 / チラコイド / エンドウ / Hcf106 / 部位特異的光架橋 / ΔpH依存型経路 |
Research Abstract |
葉緑体の光合成機能発現の中心的プロセスは,核あるいは葉緑体ゲノムにコードされた光合成に関わるタンパク質の協調したチラコイド移行である。われわれは最近,葉緑体内部に大腸菌型Sec依存性のチラコイド移行経路があること,この経路と△pH依存の経路は共通の膜透過チャネルを利用していないことを見出した。そこで,下記のように,部位特異的光架橋法を前駆体の包膜通過に適用し,前駆体と包膜の膜透過装置の間の相互作用をマッピングした。また△pH依存のチラコイド膜透過経路が高次構造を保ったまま基質タンパク質を膜透過させるメカニズムを解明するために,この経路の新規膜透過チャネルの同定を行った。 1.エンドウ葉緑体における△pH依存のチラコイド移行経路を解析する足がかりとして,シロイヌナズナやトウモロコシでTha4と共にこの経路に関与していることが明らかにされているHcf106遺伝子のクローニングを試みた。トウモロコシHcf106タンパク質において,他のHcf106やTha4と高いホモロジーが見られるドメインを含む50〜156アミノ酸残基領域をコードする遺伝子断片をプローブとして,エンドウcDNAのλライブラリーをスクリーニングした。この結果一つのクローンが得られ,塩基配列決定から248アミノ酸残基をコードするORFが同定された。 2.プラストシアニン前駆体を用いて単離葉緑体への輸送実験を行い,ATP濃度を下げることにより,包膜透過反応の中間体が生成することを確認した。次に光反応性のアミノ酸であるBPAをサプレッサーtRNA法により部位特異的に導入したプラストシアニン前駆体を調製した。この前駆体と単離葉緑体を用いて包膜透過反応中間体を形成させ,UV照射により架橋反応を行った。その結果,Toc/Tic構成因子との架橋産物が,各部位で低濃度ATP、UV照射特異的に検出された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Y. Abe et al.: "Structural basis of presequence recognition by the mitochondrial protein import receptor Tom20"Cell. 100(in press). (2000)
-
[Publications] Y. Kubo et al.: "Two distinct mechanisms operate in the reactivation of heat-denatured proteins by the mitochondrial Hsp/Mdj1p/Yge1p chaperone system"J. Mol. Biol.. 286. 447-464 (1999)
-
[Publications] T. Kanamori et al.: "Uncoupling of transfer of the presequence and unfolding of the mature domain in precursor translocation across the mitochondrial outer membrane"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 96. 3634-3639 (1999)
-
[Publications] M. Esaki et al.: "Two distinct mechanisms drive protein translocation across the mitochondrial outer membrane in the late step of the cytochorme b2 import pathway"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 96. 11770-11775 (1999)
-
[Publications] T. Asai et al.: "Sec-dependent pathway and DpH-dependent pathway do not share a common translocation pore in thylakoidal protein transport"J. Biol. Chem.. 274. 20075-20078 (1999)
-
[Publications] 西川周一,遠藤斗志也(分担執筆): "酵母の細胞内構造体の調製法"新版 微生物学実験法(大和田紘一,黒岩常祥,杉山純多,高橋秀夫,徳田元,渡辺信編). 121-125 (1999)
-
[Publications] 遠藤斗志也(分担執筆): "葉緑体への輸送"細胞内物質輸送のダイナミズム(米田悦啓,中野明彦編)学会出版センター. 65-73 (1999)