1999 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ因子を介する葉緑体光合成遺伝子発現の核支配調節機構
Project/Area Number |
11151226
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 裕和 静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 助教授 (80170348)
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Keywords | シグマ因子 / 葉緑体 / 光合成遺伝子 / シロイヌナズナ / 突然変異 / プラスチド / RNAポリメラーゼ / フィトクロム |
Research Abstract |
光形態形成異常あるいは光制御遺伝子発現異常シロイヌナズナ突然変異体を用いて,プラスチドRNAポリメラーゼのシグマ(σ)因子をコードする遺伝子の発現を調べたところ,全てのσ因子は,核遺伝子で知られている光シグナル伝達系の支配下にあることが明らかになった.このことは,σ因子が核から葉緑体でのシグナル伝達を担っていることを示唆する.また,コア酸素βサブユニットをコードするrpoBの発現も同様な支配下にあることから,rpoBを転写するNEP(Nuclear-Encoded Plastid RNA Polymerase)も,σ因子と同様の光シグナル伝達系の支配下にあるものと考えられる.波長の異なる光による照射実験を行い,σ因子及びプラスチド光合成遺伝子の発現を調べたところ,赤色光および近赤外光(フィトクロム系励起シグナル)は、青色光(クリプトクロム系励起シグナル)ともに,σ因子の発現を促進した.このときのプラスチド光合成遺伝子発現を見ると,赤色光および青色光においてSIG_Sの発現と相関は低かった.これは,プラスチド遺伝子発現に重要なσ因子が翻訳および翻訳後の修飾の制御を受けたためと考えられる.この修飾の1つの候補としてリン酸化が挙げられる.光化学系のレドックス変化が光合成色素合成を含む光合成遺伝子発現を制御している可能性が,別途推進してきたラン藻Synechocystis sp. PCC 6803の強光耐性変異D1タンパク質の研究からも支持された. シロイヌナズナSIG-cDNAクローニングは,EST(expressed sequence tag)データベースの利用により可能になったが(Isono et al. : Proc. Natl. Acad. Sci USA , 94, 14948-14953, 1997),それ以前,真性細菌由来σ因子とのホモロジー,あるいはプラスチド遺伝子プロモータとの結合結成を指標にした方法論を試みた.これらの結果,シロイヌナズナから,新規のRNA/DNA helicase およびCa2_<+->dependent nuclease のcDNAクローンを得た.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Narusaka, Y., Narusaka, M., Satoh, K., and Kobayashi, H.: "In vitro random mutagenesis of the D1 protein of the photosystem II reaction center confers phototolerance on the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803"J.Biol Chem. 274. 23270-23275 (1999)
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[Publications] Isono, K., Yamamoto, H,,Satoh, K., and Kobayashi, H.: "An Arabidopsis cDNA encoding a DNA-binding protein that is highly similar to the DEAH family of RNA/DNA helicase genes"Nucleic Acids Res.. 27. 3728-3735 (1999)
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[Publications] Isono, K., Satoh, K., and Kobayashi, H.: "Molecular cloning of a cDNA encoding a novel Ca^<(2+)>-dependent nuclease of Arabidopsis that is similar to staphylococcal nuclease"Biochim. Biophys. Acta.. 1490(印刷中). (2000)
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[Publications] 清水正則,吉本光希,小林裕和: "葉緑体の転写調節 : 光合成機能発現制御機構"蛋白質核酸酵素. 45. 123-131 (2000)
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[Publications] 杉山達夫,仲本準,小林裕和: "光合成炭酸固定実験法 : 細胞から分子まで.「生物化学実験法シリーズ」,"学会出版センター (印刷中). (2000)