1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンの基質認識とヌクレオチド加水分解活性
Project/Area Number |
11153217
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学部, 助教授 (40177697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 知宏 鳥取大学, 工学部, 助手 (50263489)
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Keywords | 分子シャペロン / GroEL / 機能発現機構 / ATP加水分解 / 一分子 / 安定性 |
Research Abstract |
大腸菌の熱ショック蛋白質として細胞内蛋白質の大きな立体構造変化に関与し,細胞機能に重要な役割を果たしているシャペロニンGroE(GroEL,GroES)の機能発現機構の詳細を明らかにするため,蛋白質工学的手法を駆使して,オリゴマー蛋白質であるGroESの構造安定性とGroELの基質認識とヌクレオチド加水分解活性に関わる機能発現機構に関して以下のような結果を得た。 1.7量体からなるオリゴマー蛋白質GroESの安定性を評価するため,変性剤(塩酸グアニジン)中における挙動を蛍光スペクトル,ゲルろ過クロマトグラフィーで調べた。また,サブユニット間にトリプトファンを新たに導入した変異体を用いて同様に調べた結果,7量体のGroESは一度単量体に解離し,その後,変性していくという2段階反応であることが明らかになり,全体の構造安定性は,各サブユニットがオリゴマー化することによって主に維持されていることが分かった。 2.蛋白質の構造形成を行うシャペロニンGroELの機能発現機構の詳細を解明するため,部位特異的変異導入法を用いて,3個のドメイン(頂上,中間,赤道ドメイン)にそれぞれ変異を導入した3種類の変異型GroELを作製し,その機能解析を行った。その結果,シャペロニンGroELの機能発現において,ATPの結合・加水分解と基質結合の情報伝達が重要であり,中でも特に,GroELの中間ドメインがその大きな役割を担っていることが明らかになった。 3.GroELの基質認識の様子をβラクトグロブリンとロダニーズを基質蛋白質にして,それぞれの分子を蛍光色素でラベルにすることによって,一分子蛍光観に成功した。今後はこの系を用いて,分子シャペロンの機能発現機構を一分子で明らかに出来る事が判明した。
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[Publications] Higurashi et al.: "Unfolding and Refolding of Escherichia coil Chaperonin GroES is Expressed by a Three-State Model"J.Mol.Biol.. 291-3. 703-713 (1999)
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[Publications] Kawata et al.: "Communication Between the Apical and Equatorial Domains of GroEL one Mediated by Conformational Changes Through the Intermediate Domain"Biochemistry. 38・48. 15731-15740 (1999)
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[Publications] Yamasaki et al.: "Single Molecular Observation of the Interaction of GroEL with Substrate Proteins"J.Mol.Biol.. 292・5. 965-972 (1999)