1999 Fiscal Year Annual Research Report
酵母における小胞体カルネキシンノックアウトが新生糖蛋白の品質管理機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
11153218
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
加藤 昭夫 山口大学, 農学部, 教授 (00035114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 助手 (40263850)
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Keywords | 分子シャペロン / カルネキシン / 蛋白質の品質管理 / リゾチーム変異体 / グリコシル化リゾチーム |
Research Abstract |
酵母S.cerevisiaeの小胞体シャペロンカルネキシンの品質管理機構を明らかにするために、カルネキシンをノックアウトした酵母とノックアウトしていない野生型酵母を用いて、糖蛋白質の発現、分泌を比較した。モデル糖蛋白質として、構造安定性の異なる種々の変異リゾチームをグリコシル化するように分子設計したものを用いた。リゾチームでアミロイドシスを引き起こすことが知られている変異体Asp66His,Ile55Thrは正常な酵母ではほとんど分泌しないが、カルネキシン欠損株では多量に分泌すること、また、ジスルフィド欠損変異体C76A、へリックス不安定変異体K13Dも同様に、カルネキシン欠損株で多量に発現分泌することを明らかにした。この観察はカルネキシンの品質管理機能の存在を直接証明したものである。本研究では、さらに、カルネキシンの品質管理機構をより詳細に解明するために、不安定変異リゾチームを分泌させる系において、カルネキシン欠損による他の分子シャペロン、UPR(unfolded protein response)の挙動を調べた。 この結果、カルネキシン欠損株で不安定変異体を発現、分泌させると、BipやPDIのような小胞体分子シャペロンが著しく増加した。このことはカルネキシンで行っていた品質管理が機能しなくなり、UPRが生じたことに起因し、カルネキシンの品質管理がさらに証明された。今後、このカルネキシンの品質管理がプロテアソーム分解系で起こるのかを明らかにすることが残された課題である。
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