1999 Fiscal Year Annual Research Report
線虫における糖鎖シグナルによる細胞間コミュニケーション
Project/Area Number |
11159212
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
笠井 献一 帝京大学, 薬学部, 教授 (40001052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒田 洋一郎 帝京大学, 薬学部, 助手 (90246017)
平林 淳 帝京大学, 薬学部, 講師 (40156691)
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Keywords | ガレクチン / 線虫 / C. elegans / 糖鎖 |
Research Abstract |
われわれは線虫C. elegans を糖鎖生物学研究のため最良の実験動物とするべく諸研究を推進しているが、その一環としてガレクチンを中心に据えている。最近のゲノムプロジェクトの完成により、少なくともC. elegans には11種類のガレクチン遺伝子が存在することが明らかになり、このような単純な生物になぜこれだけで多種類のガレクチンが存在するのか、その意義にはきわめて興味が持たれる。そこでそのすべてについて遺伝子工学的にタンパク質として発現させ、糖結合特性その他の諸性質を検討している。今回発見された画期的な特性は、いくつかのものが金属結合能力を持つことである。線虫ガレクチンのうちでヒスチジン含量が著しく高いものがあることは遺伝子構造からわかっていたが、これらをタンパク質として発現すると、ニッケル等との金属イオンと強く結合することが見出された。これらヒスチジンが立体構造上ではクラスターを形成することに原因があると考えられるが、あたかも天然のヒスチジンタグのように、金属キレート担体に吸着される。また金属添加により特異的に沈殿するものもあり、こえは分子内に複数のヒスチジンクラスターが存在するため、金属イオンが架橋となって凝集体を形成するためと考えられる。また赤血球凝集作用も金属添加により著しく増強された。これらのガレクチンは糖鎖結合能力と金属結合能力をあわせ持ち、糖鎖間の架橋分子としての特性が金属により制御されている可能性がある。また金属をストラップする役割を持つ可能性もあり、レクチンの未知の機能を推測させるもので、きわめて興味深い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Walzel H. ,: "Involvement of CD2 and CD3 in galectin-1 induced signaling in human Jurkat T-cells"Glycobiology. 10(in press). (2000)
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[Publications] Rabinovich, G. A.: "Specific inhibition of T-cell adhesion to extracellular matrix and pro-inflammatory cytokine secretion by human recombinant galectin-1"Immunology. 97. 100-106 (1999)
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[Publications] Ravinovich, G. A.: "Recombinant galectin-1 and its genetic delivery suppress collagen-induced arthritis via T cell apoptosis"J. Exp. Med.. 190. 385-397 (1999)
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[Publications] Aboul-Enein: "Analytical and Preparative Separation Methods of Biomacromolecules"Marcel Dekker Inc. ,. 462 (1999)