1999 Fiscal Year Annual Research Report
HIV NefおよびEnv蛋白に結合する細胞性因子の研究
Project/Area Number |
11161202
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大野 博司 金沢大学, がん研究所, 教授 (50233226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 隆 千葉大学, 医科学研究科, 教授 (50205655)
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Keywords | HIV / Nef / ACTE-II / ペルオキシソーム / Env / マトリックス蛋白 / AP-2 / μ2 |
Research Abstract |
Nefの発現は細胞内構築を変化させることが知られている。われわれはNefがACTE-III(アシルCoAチオエステラーゼIII)と結合し、その活性を増強することを見い出した。そこで、ACTE-IIIを強発現した細胞を作成したところ、電顕においてペルオキシソームの減少、脂肪滴の出現、およびミトコンドリアの形態異常が認められた。ACTE-IIIはペルオキシソームに局在し、脂肪酸代謝に重要な働きをすると考えられることから、この形態変化はACTE-IIIを強発現したことによると考えられる。また、ACTE-III強発現細胞では正常細胞に比べ増殖抑制が認められた。ACTE-IIIは上記のようにペルオキシソームに局在するがNefは細胞質に存在すると考えられることから、今後は、この細胞にNefを共発現させることにより、ACTE-IIIの細胞内局在が変化するか否か、さらに細胞内微小構造がどのように変化するかを検討することにより、HIV感染細胞の病理におけるNefとACTE-IIIとの相互作用の果たす役割を検討したい。 Envに関しては、AP-2複合体のμ2鎖と結合してエンドサイトーシスされること、また、マトリックス蛋白が存在するとEnvのエンドサイトーシスが阻害され、細胞表面への発現が増加することから、マトリックス蛋白がAP-2とEnvの結合を競合阻害すると考えられる。そこでその可能性を検討するために、IL-2受容体α鎖(Tac)とgp41envの細胞質領域とのキメラ蛋白(TE-11)を安定に発現したHeLa細胞株を作成した。今後はこの細胞を用いてマトリックス蛋白を強発現させ、μ2との結合を阻害する結果、TE-11の細胞表面への発現が増強するか調べる。
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