1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11161224
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
庄司 省三 熊本大学, 薬学部, 教授 (60040317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 慎一 国立国際医療センター病院, エイズ治療・研究開発センター・臨床研究開発部, 部長 (20194326)
三隅 将吾 熊本大学, 薬学部, 助手 (40264311)
古石 和親 熊本大学, 薬学部, 助手 (40238663)
加藤 英夫 日水製薬(株), 研究本部, 副本部長
向井 鐐三郎 国立感染研究所, 筑波霊長類センター, 主任研究官 (90133040)
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Keywords | HIV-1 / 多剤薬剤耐性 / 抗HIV剤 / チアミンジスルフィド / Tat / NF-κB |
Research Abstract |
HIV固有の産物に直接作用する阻害剤等はウイルスの持つ易変異原性のため,耐性ウイルスの出現を容易にし,人類のエイズ制圧の夢を打ち砕いている。エイズウイルスの爆発的な転写は,細胞の転写活性化タンパク質nuclear factorκB(NF-κB)及びHIV-1 transactivator(Tat)によって意図まれているが,申請者らは,この爆発的転写を抑えるために,細胞性因子とウイルス因子を同時に抑える手段を考え,NF-κBとTatの活性チオール基に注目した。NF-κBのチオール基はNF-kBの活性化,核酸への結合に必須であり,Tatのチオール基はZn-フィンガー形成に必須である。一剤で両活性を阻害できれば,HIVの爆発的増殖を抑制することができる。チオール基との反応は,-S-S-形成反応,-S-S-交換反応がもっとも効果的であるので,生体内・天然に存在するジスルフィド化合物を調べ,チアミンの前躯体として化学合成されたチアミンジスルフィドのジミリストイル化合物が高い抗HIV活性を有することを発見した。 本剤は,チアミンジスルフィドの2水酸基に2ミリストイル基を導入し,脂質移行性及び-S-S-の反応性を高めた化合物で,培養細胞に対する細胞毒性は著しく低い。マウスに対する急性毒性(LD50)は,630mg/kgで,サルエイズに対してはLD50の1/20量で十分に有効で,エイズ発症サルに対し,投与開始2週間後からCD4陽性細胞の著しい上昇とCD8陽性細胞増加が認められ,血中からSIVが検出感度以下に低下し,その作用は約6ヶ月続いた。人に対しては,100〜200mg/day1〜2回腸溶カプセル投与により,有効であることが推定される。製剤化については現在検討中である。
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[Publications] S. Shoji, et al.: "An allosteric drug, o, o'-bismyristoyl thiamine disulfide, suppresses HIV-1 replication through prevention of nuclear transiocation of both HIV-1 Tat and NF-kB"Biochem. Biophys. Res. Commun. 249. 745-753 (1998)
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[Publications] S. Shoji, et al.: "Blackage of HIV-1 production through inhibition of proviral DNA synthesis by N,O-didecanoyl serinal dimethylacetal."IUBMB Life. 48. 311-315 (1999)