2000 Fiscal Year Annual Research Report
西洋古典文献の伝承史と中世東西地中海世界の修道制をめぐる実証的研究
Project/Area Number |
11164204
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 学 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (80231843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 直己 筑波大学, 哲学・思想学系, 助教授 (20178156)
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Keywords | 異文化理解 / 修道制 / 托鉢修道会 / 聖務日課 / 筆写 / 観想 / トマス・アクィナス |
Research Abstract |
西洋中世において文献伝承に携わった人々の精神的境位を、文献伝承史および概念受容史のレベルで具体的に捉えることが本研究の目的であった。プラトン/アリストテレス的な古代哲学の枠組みは,キリスト教中世において基本的に継承されつつも,その神学体系の中で様々な変容を被り多様な展開を遂げることになる。研究分担者桑原はこの間の経緯を明らかにした。また秋山は著書『教父と古典解釈』において、教父時代における異文化理解のあり方が、後のヒューマニストたちの古典理解を基本的に準備したばかりでなく、その間の修道士たちの文献伝承筆写作業の実際をも規定したことを実証的に記述した。キリスト教東西の修道制の父と仰がれる大バシレイオス,東方修道制の今日に至る基礎を築いたストゥディオスのテオドロス,西方修道制の霊的父たるアウグスティヌス,同じく西方修道制の礎を据えたヌルシアのベネディクトゥス,また12世紀ルネッサンスの展開の中で修道制の霊的刷新に努めた人々,そして学究的托鉢修道会を設立して現在に至る修道霊性を拓いたドミニコなどは,上記の修道的文化伝承者として挙げられよう。彼らは,修道霊性の理解において種々多様な展開を見せながらも,いずれも地中海文化に端を発する古典古代文化の教養を破棄することなく,福音書朗読と詩編唱和より成る聖務日課を基軸とした日々の霊的歩みの中に,古典古代作品の筆写作業や,古代哲学の著作をテキストとする観想的学究活動などを採り入れ,哲学史・文化史にも名を残す人々となったのである。古代・中世思想文化を集大成したトマス・アクィナスの学術活動も,本質的にはドミニコ会士としての彼のあり方に支えられている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 秋山学: "「証聖者マクシモスにおける終末論と神化」"筑波大学文芸・言語学系紀要『文藝言語研究 文藝篇』. 38. 47-64 (2000)
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[Publications] 秋山学: "「タキトゥスの動詞統語法におけるGraecism」"筑波大学文芸・言語学系紀要『文藝言語研究 言語篇』. 39(予定). 1-30 (2001)
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[Publications] 桑原直己: "「アウグスティヌスと千年王国論」"哲学会編『哲学雑誌』第115巻787号『ユートピア』. 115/787. 1-19 (2000)
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[Publications] 桑原直己: "「トマス・アクィナスにおける愛(アモル)に関する理論の構造」"筑波大学哲学・思想学系紀要『哲学・思想論集』. 26(未定). (2001)
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[Publications] 秋山学: "教父と古典解釈-予型論の射程-"創文社. 370 (2001)
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[Publications] 秋山学: "『シリーズ言語態』第3巻「書物の言語態」1-22頁「地中海世界における書物と書物観」"東京大学出版会(未定). (2001)