2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11164213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 秀城 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70135177)
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Keywords | 東アジア / 科学 / 漢字 / 北学 / 洪大容 |
Research Abstract |
本研究の目的は、18から19世紀の東アジアの前近代の科学関連資料・科学古典を収集整理し、それを通して当時の科学と科学思想を、東アジア文明総体の中に位置付けるところにあるが、今年度の主要な成果は大きく三つある。 第一の成果は研究基本資料の収集である。『韓国文集叢刊』(201〜262)や『與猶 堂全書』『燕行録選集』など韓国朝鮮研究の最重要資料を入手しただけでなく、『続修四庫全書』(経部)をも購入した。 第二の成果は朝鮮王朝後期の実学派の1つ、北学派の科学思想の研究にある。現在、研究代表者は洪大容(1731〜1783)の科学と科学思想に照準をあわせて分析中であるが、分析をとおして、洪大容の学問形成において、中国清代の西学系の科学書、たとえば『暦象考成』などの影響が、大きいことを発見した。これは洪大容の知見の主要なものが西洋起源であることを意味しており、重要な成果といってもよいであろう。なおこの研究成果の一部は、2001年12月、韓国の成均館大学校の集中講義で披露したが、いまだ文章にはしていない。 また2001年11月には、中国科学院自然科学史研究所の所長と副所長、中国科学技術館の館長を招聘して、小規模ではあるが、国際科学史会議を開催した。小規模の専門家会議に固執したのは、多人数では十分な討論を行うことはできないとの研究代表者の信念にもとづいている。中国・日本以外には、韓国・フランスなどからの参加者もあり、盛況であったということができるであろう。
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[Publications] Kawahara Hideki: "The Science of Four Forms in Joseon Dy nasty"Sungkyun Journal of East Asian Studies. Vol.1, No.1. 283-293 (2001)
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[Publications] 川原 秀城: "毒薬は口に苦し-中国の文人と不老不死"大修館書店. 306 (2001)