2002 Fiscal Year Annual Research Report
古典学の再構築・調整班研究B01「伝承と受容(世界)」
Project/Area Number |
11164216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 哲郎 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50093282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 康弘 一橋大学, 経済学部, 助教授 (70223873)
丘山 新 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90185489)
西村 重雄 九州大学, 法学部, 教授 (30005821)
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Keywords | 中国仏教 / ビザンツ学 / ローマ法 / 西洋古典学 |
Research Abstract |
本調整班研究は、(1)古典の伝承の実態を把握することにより、古典を理想的な形で次代に伝え、(2)各文明における古典受容のあり方を比較研究することにより、各文明の特質を明らかにすると共に、(3)従来の各分野内で完結していた研究法に反省を加え、異分野横断・文化横断の新しい古典学を構築することを目的として出発した。参加者はインド・中国仏教、西洋古典学、西洋古代史、ローマ法、ビザンツ学、ジャワ文学、中国史、英文学の専門家17名で、上記の問題意識を共有しつつそれぞれの研究を進め、最終年度には他分野の研究者にも理解して貰えるような論文を提示しあって討論の材料にした。すなわち、早島理「弥勒菩薩と兜率天伝承」、斎藤明「Bodhi (sattva) caryavataraとSiksasamuccayaの伝承をめぐって」、佐古年穂「『倶舎論』とその周辺」、安藤充「古ジャワ版「バガヴァッドギーター」の伝承と受容」、大月康弘「ビザンツ帝国租税制度覚書」、渡邊金一「ギリシア・ラテン語を学ぶ,とはヨーロッパで何だったのか-フールマンの近著に寄せて」、小川正廣「西洋古典のカノン-初期ギリシアにおけるホメロスの詩の選定をめぐって」、高橋宏幸「審判異聞-オウィディウス『変身物語』の場合」、中務哲郎「古典の亡失」、西村賀子「西洋写本伝承よもやま話」、西村重雄「学説彙纂フィレンツェ写本の謎」、児玉寛「レモン材のテーブルをめぐる顛末」、南川高志「『アグリコラ』と『ローマ皇帝群像』-伝記の使命について」、中砂明徳「灰色の年代記」、川津雅江「レズビアン誕生秘話」等で、参加者は他領域の研究者との共同研究の実があがったことを実感した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中務哲郎: "ギリシア・ローマの小説"岩波講座「文学」. 3. 19-41 (2002)
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[Publications] 中務哲郎: "古代文学における予示の技法について"西洋古典論集. 18. 38-52 (2002)
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[Publications] 中務哲郎: "映画にしたいギリシア文学"岩波書店「文学」. 3-6. 29-32 (2002)
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[Publications] 大月康弘: "ブローデル後の地中海史研究"社会経済史学の課題と展望 有斐閣. 75-88 (2002)
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[Publications] 大月康弘: "リウトプランド968年ミッションの目的と齟齬"西洋史研究 新輯. 31. 74-104 (2002)
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[Publications] 大月康弘: "10-11世紀ビザンツ社会のカリスティキア"ヨーロッパ中世の権力編成と展開 東大出版会. 40-75 (2002)