2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・プロテスタンティズムにおける古典解釈と思想生成
Project/Area Number |
11164218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 章子 青山学院女子短期大学, 教養学部, 教授 (10172256)
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Keywords | ルター / ハーマン / ノヴァーリス / 神秘思想 / 敬虔主義 / 古典 / 聖書解釈 / ロマン主義 |
Research Abstract |
本研究は、ヨーロッパの成立以来、思想の営みが古典との取り組みの中で行われてきたことを確認し、跡づけることを目的とするが、本年度は、ルターを中心とする16世紀、またハーマンを中心とする17-18世紀を川中子が、そして敬虔主義と自然神秘主義からドイツ観念論に至る18-19世紀を中井が分担した。 ハーマンに関して川中子は、この思想家を、18世紀に明確な形を取り始める新プロテスタンティズムの聖書解釈の動きに対して最初に反省を行い、自覚的に対峙した人物として、プロテスタンティズムの解釈学的伝統の上に位置づける作業から行った。その際に、ルターの再解釈者としてのハーマンの思想の独自性、その敬虔主義の聖書解釈との差違を検証していった。そこでは、古典古代、ことにその修辞の伝統との取り組みも視野におき、西欧の思想におけるヘブライ・キリスト教思想とギリシャ・ローマの古典の絡み合いをも浮き彫りにした。こうした成果を、「北方の博士・ハーマン著作選」において、提示しようとした。 一方、中井は、18世紀後半において聖書とギリシア思想という古典がいかに解釈され、それが新たな古典の生成にいかにつながっていくかを、ノヴァーリスやフリードリヒ・シュレーゲルやシェリングなどの初期ロマン主義に焦点をしぼって研究した。18世紀後半になされたいわゆる「汎神論論争」とその影響は、ドイツ観念論やゲーテ時代の文学にとってだけでなく、諸宗教・諸文明の対立が問題となっている現代にとっても重要であることを見定めた。2001年10月にはドイツ,ヴィーダーシュタットにおいて開催されたノヴァーリス協会の学術会議において、「ノヴァーリスにおける詩と詩学、自然神秘思想の記号論」という講演をおこなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 川中子 義勝: "啓示と応答としての「うた」"東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻 「シリーズ言語態(2)創発的言語態」. 2. 215-234 (2001)
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[Publications] 川中子 義勝: "「一つの死,別なる死を喰らいて」 -ルター賛美歌の生成について"日本独文学会編「ドイツ文学」. 107. 1-12 (2001)
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[Publications] 中井 章子: "薔薇十字団とグノーシス主義"大貫隆, 島薗進, 高橋義人, 村上陽一郎(編) 『グノーシス陰の精神史』岩波書店. 295-308 (2001)
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[Publications] 川中子 義勝: "北方の博士・ハーマン著作選"沖積舎. 574 (2002)