1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11164222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大津 透 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70194199)
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Keywords | 天皇制 / 律令法 / 唐令 / 大谷文書 |
Research Abstract |
古代の天皇制をめぐる研究書をまとめ、律令法に規定された奈良時代の天皇のあり方は、実際には大化前代あるいは古墳時代以来の固有なあり方、氏姓制度のあり方を継承しているものであることを明らかにした。しかし当初継受できなかった中国的な律令法について、八世紀中葉以降、礼の受容による唐風化という形で天皇制の変化がすすみ、弘仁年間に儀礼が中国的な形に改められ、貞観年間に唐風化の到達点をみる。これは八世紀以来律令制が段階的に継受されたということができ、天皇制は奈良時代にはなお濃厚に残していた神話的秩序からようやく脱する。この日本の天皇制は江戸時代までつづく「古典的国制」であるが、その成立は唐の律令や礼の継受の結果であったことを解明した。 調査としては、中国寧波の天一閣で発見された北宋天聖令の写本の研究を進め、具体的な唐令の復原作業を進めた。また籠谷大学所蔵の大谷探検隊が西域より将来した大谷文書のうち、唐西州の退田文書、欠田文書、給田文書からなる一連の均田制関連文書について、精力的に復原研究を進め、多くの断簡接続を発見し、大谷文書の整理に貢献している。これにより唐律令制の土地支配・民衆支配が解明され、日本の田令との差異が明らかになるだろう。またソウル国立中央博物館所蔵の大谷探検隊将来アンペラ文書については、写真を入手し、接続を補訂し釈文を作成し、唐財政の一面を解明した。今後の原本調査を期待している。
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Research Products
(2 results)