1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11164246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 康三 京都大学, 文学研究科, 教授 (40108965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 弘志 京都女子大学, 文学部, 助教授 (60150893)
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Keywords | 聯句 / 韓愈 / 孟郊 / 中唐文学 / 韓門 / 元白 / 城南聯句 / 奇 |
Research Abstract |
この研究の目的の第一は韓愈・孟郊の聯句を可能な限り正確、精緻に読解し、全作品の詳細な訳注を完成させることである。そのために月一回程度の研究会を定期的に開き、全国から中唐詩の研究者を集めて、会議を実行してきた。この文学の性格上、多くの専門家が集まって意見を交わしながら読み合わせすることが最も有効な方法だからである。その集まりには中国の聯句の研究者、中唐の様々な詩人を専門とする研究者、さらには京都在住の中国人学者も加わり、多面的、立体的に会読が進められている。その結果、従来難読の箇所にも新たな解釈が与えられたほか、韓孟聯句の特質について、以下のような点が明らかになってきた。 聯句という文学様式はそもそも参加者相互の間の交流、人的交わりを基本とし、またともに詩を作ることによってその結び付きを確認し、高めあう、いわば社交的な性格が伴うものであるが、しかし韓孟聯句の場合はそうした詩作の場のもたらす効果を越えた性格が認められる。二人の間にこそ持ち得た敬愛と信頼に基づきつつ、新しい表現を奔放に試みる実験が行われている。そこで獲得された表現手法は、二人を取り巻く李賀などによって一層徹底され、洗練されて中国の詩表現を豊かにすることになる。また韓愈と孟郊という本質的に異質な詩人がぶつかりあうことによって、両者はそれぞれ独自の文学をその後展開する契機にもなった。しかしながら、激しい個性が競い合ったこの聯句は、その後の文学史において必ずしも確固たる伝統として受け継がれることはなかったようだ。聯句のその後の展開については今後の研究が待たれる。
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