1999 Fiscal Year Annual Research Report
金属内包フラーレンと高次フラーレンの合成と新規物性の開拓
Project/Area Number |
11165230
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 耕一 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40177796)
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Keywords | 金属内包フラーレン / 高次フラーレン / ケージ構造 / アクチノイド元素 / STM |
Research Abstract |
本研究は金属内包フラーレンと高次フラーレンの構造や性質を明かにするとともに、高次フラーレン・金属内包フラーレンの階層化に取り組み、新規物性の開発を目的としている。本年度は、2価タイプ金属内包フラーレンの分子構造の対称性を解明した(投稿準備中)。また、3価タイプ金属内包フラーレンのアニオン状態の吸収スペクトルと2価タイプの吸収スペクトルを比較検討し、3価タイプのケージ構造は、2価タイプの一異性体のケージ構造を一致することを示唆する結果を得た。この結果は先の核変換より求めた結果と一致する。新規フラーレンとしては、Hfやアクチノイド元素を内包する金属内包フラーレンを作成単離した。Hf金属内包フラーレンでは、金属が4価を取ると考えられており、酸化数状態を明らかにすることが次年度の課題と考えている。また、異種金属元素を内包する金属フラーレンHoTm@C82の電子状態をXAFSの測定より解明した。この結果、Tm金属元素においては、ケージに一つ内包されるときは、+2価であるのに対して、複数個内包されるときは+3価に酸化数状態が変化することが明らかとなった。これは非常に興味深い減少である(投稿準備中)。高次フラーレンとして、炭素数96のフラーレンのケージ構造の対称性を決めることに始めて成功した。C96フラーレンは当初の予想どおり5つ以上の異性体が存在することも同時に明らかにした。金属フラーレン・高次フラーレンの階層化に取り組みとしては、ベンゼン環を介した長鎖アルキル基を有するC60誘導体に関して研究を進めているが、側鎖の方向により構造が変化することを明らかにした。構造変化に伴う物性研究が今後の課題である。なお、本年度購入したSTMに関しては、フラーレン試料の蒸着法を改良中であり、単離した金属フラーレン・高次フラーレンのSTM、STSを逐次測定し、構造ならびに物性を解明する予定である。
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[Publications] K. KIKUCHI: "Production and Isolation of the isomers of dimetallofullerenes, ・・・"Chem. Phys. Lett.. (印刷中). (2000)
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[Publications] K. AKIYAMA: "Production and Isolation of Hf-metallofullesenes"Chem. Phys. Lett.. (印刷中). (2000)
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[Publications] K. SUEKI: "A C_<82> Carbon Cage Stable toword Two Differenet, ・・・"J. Phys. Chem B. 103. 1390-1392 (1999)
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[Publications] K. MATSUMOTO: "Synthesis of Radioactive Carbon habeled Fullerenes ・・・"Radioanal. Nucl. Chem.. 239. 201-206 (1999)
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[Publications] K. SUEKI: "Formation of Metallofullesenes with Higher Group ・・・"Chem. Phys. Lett. 300. 140-144 (1999)
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[Publications] M. Chikamatsu: "Photoconductivity of C_<60> Perivatives with ・・・"Synthetic Metals. 103. 2403-2406 (1999)